ホームセンター大手のDCMホールディングス(本社・東京都品川区)が島忠(同・さいたま市中央区)に行っていたTOB(株式公開買い付け)が11日終了したが、応募株数は3万2000株で買い付け予定下限の1947万7700株に大きく満たなかった。このため、DCMは12日、TOBを取りやめると発表した。DCMは、M&A(企業の買収・合併)を成長の原動力としてきたが、今回のTOB不成立はこれまでのDCM流のM&Aが通用しなくなったことを表している。(写真は、DCMホールディングスの中核子会社DCMホーマックの本社)

 DCMは、持続的成長と事業拡大を目指し、島忠の合意を得て1株4200円で10月5日よりTOBを開始。しかし、このTOBを知った家具・インテリア量販最大手のニトリホールディングス(札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)が、10月29日に島忠へのTOB実施を表明。これを受けて島忠はDCMとの合意を撤回、ニトリに賛同。ニトリは1株5500円で11月16日からTOBを開始した。

 島忠を巡り、DCMとニトリが敵対する関係になったが、DCMは買い付け価格を変更せず、事実上ニトリのTOBを静観する形になった。結果、買い付け予定数の下限に対して応募数は0・16%にとどまり、TOBは不成立になった。ニトリの買い付け期間は、12月28日までとなっておりTOBは成立する見通しとなっている。

 釧路発祥のDCMホーマック(本社・札幌市厚別区)を源流とするDCMは、旭川発祥のツルハホールディングス(同・札幌市東区)と同様、M&Aを仕掛けつつ主導権を取りながら成長してきた。一方で札幌発祥のニトリは、こうしたM&Aを行わずにほぼ自力で成長を続けてきた。今回は、M&A巧者のDCMがM&A新参者のニトリに敗れた格好になる。DCMにとって敗者になるのは初めての経験と言えそう。成長に向けた敗者復活のM&Aを繰り出せるか。


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