アナ雪の氷の城と酷似した旭川の「雪の美術館」30日閉館、 エーコー財団の3館承継に赤信号

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 雪と氷をテーマにした「雪の美術館」(旭川市南が丘3丁目1ー1)が6月30日に閉館する。同館を運営していた「マリーブラッサム」(石川容子社長)が事業からの撤退を表明した。(写真は、30日に閉館する「雪の美術館」。コロナ前までは年間10万人の集客があった)

 取引先に宛てた20日付の案内では、《コロナウイルス感染症などの影響の激しさが増す中、経営悪化の状況に至っております。弊社といたしましても事業継続の方向性をいろいろと探りましたが、誠に遺憾ながら雪の美術館運営事業を継続することは困難と判断しました》と説明している。

 同館は2016年に経営破綻した「北海道伝統美術工芸村」(旭川市、以下工芸村社)が、1991年に建設。かつては、隣接する「優佳良織工芸館」や「国際染織美術館」とともに市内の主要な観光・文化施設として年間100万人もの観光客が訪れていた。
 マリーブラッサム社は14年に「雪の美術館」を工芸村社から借り受け、館内の観覧や音楽堂での結婚式、コンサートの企画のほかカフェでは食事の提供なども行っていた。建物がディズニー映画の『アナと雪の女王』の氷の城と似ていると評判を呼び、国内はもとより中国をはじめとする海外から年間約10万人の観光客が訪れていた。

 工芸村社が経営破綻した後、「優佳良織工芸館」と「国際染織美術館」は閉館したが、「雪の美術館」は営業を続行。18年に三館の存続を求める市民の有志が旭川市に8万4000筆の署名を提出。その約1年後には、西川将人市長が市の関係部局に三館存続に向けた具体的な検討作業を指示していた。
 市は三館の建物の状態などを調査し、市と周辺七町で構成する大雪カムイミンタラDMO(観光地域づくりを行う法人)に三館の運営が可能か打診。DMOは「観光文化の拠点施設とする」との方向性を示した。

 19年、三館の取得を主な目的として市などが「エーコー財団」(山下潔理事長)を設立し、DMOが仲介役となって工芸村社の破産管財人と三館の取得に向けた話し合いを行ってきたが、現在まで決着には至っていない。石川社長は「話し合いが早く進むように市にもお願いしてきたが、なかなか進まなかった」と事業を断念しなければならなかった理由の一つに、財団による取得が遅れたことを挙げている。
 DMO関係者は「『雪の美術館』閉館の要因がコロナの影響だったとしても、これまで続けてきた三館取得に向けた話し合いの過程で、同館の閉館は想定していなかった」と話す。「雪の美術館」閉館がエーコー財団の今後に、影響を与えるのは間違いない。

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