北海道銀行(本店・札幌市中央区)は4日、一般財団法人北海道農業企業化研究所(通称・HAL財団、本部・恵庭市)の農産物流通開発事業を継承する新会社「HAL GREEN」に出資するとともに経営支援を行うと発表した。(写真は、道銀のHAL GREENへの出資発表。左からHAL財団専務理事沓澤隆氏、同財団理事長磯田憲一氏、道銀頭取笹原晶博氏、HAL GREEN代表取締役中島英利氏=道銀提供)
道銀は2008年に道庁農政部長だった西山泰正氏を招へいしてアグリビジネス推進室を開設、早くから地方銀行として農業、農業者のサポート体制を整えてきた。道内の24店舗をアグリビジネス推進基幹店に指定、日本政策金融公庫が認定する農業経営アドバイザー72人、JGAP(農業生産工程管理)指導員4人のほか、西山氏以降続く道農政部OBも含めて北海道農業への支援体制の構築を進めてきた。
昨年7月に農業法人OMEGAファーマーズ(士別市)に出資、今年3月には同法人の菜種や亜麻、えごま搾油・精製プラントが完成して試験操業を開始している。今回、HAL財団が手掛けてきた農産物流通事業を受け継ぐ「HAL GREEN」に出資することで、道銀は生産者やスーパー、加工メーカーなど川上から川下まで接点を持つことが可能になる。
HAL剤団は、2007年9月から「HAL流通センター」を稼働させ、野菜類の集荷・貯蔵・発送拠点として機能させており、「HAL GREEN」はこうした事業を引き継ぐ。代表取締役には道銀出身で、OMEGAファーマーズ代表社員の中島英利氏が就任する。
笹原晶博頭取は、「現在、HAL財団の流通事業は年間約20億円の取扱高があるが、この事業を受け継いで当行のネットワークや顧客ニーズを取り入れて年間30億円程度まで規模を拡大したい」と話した。HAL財団の磯田憲一理事長は、「財団設立当初から農業者の企業化を基本理念に『HAL認証農産物』の独自認証制度や、グローバルギャップのグループ認証などに取り組んできた。今では約150人の農業者がHAL認証農産物を生産、グループ認証も取得している。財団の流通事業をさらに進化発展させるため、親密な関係にあった道銀と連携することにした」と述べた。
※2020年6月5日記事一部訂正しました。