6月末に役員改選期を迎えるJR北海道で小池明夫社長の続投が濃厚だが、専務以下の役付役員に変化がありそうだ。2人の専務のうち一条昌幸氏が退任、筆頭専務の栗原進氏に代表権が付与される見通し。また、2人の常務のうち野島誠氏の専務昇格の可能性もある。小池社長の任期は改選期を経て2年間ということになるが、栗原氏に代表権が付与されると任期途中の来年6月にも栗原氏への交代という可能性も出てくる。(写真は、JR北海道本社ビル)
小池氏は、昨年9月の中島尚俊社長の自死を受け11月に代表権のある会長から社長に復帰した。当初は、栗原専務の社長就任もあると見られていたが、栗原氏は小池氏に近く、「小池会長―栗原社長」のラインが実現すれば、中島氏の社長就任を実現させた坂本眞一相談役の影響力が鈍ることに繋がる。また、栗原氏は中島社長の采配に批判的だったとされ、中島氏も「栗原だけには(社長を)譲りたくない」と漏らしていたとも伝えられていた。
結果的に、小池会長の社長復帰という人材不足を露呈した形で収まることになった。
6月末に行われる役員改選でも小池氏の社長続投は濃厚。昨年5月の石勝線特急脱線炎上事故を受けた安全基本計画の国土交通省提出が遅れており、この時点でのトップ交代は混乱を招くという判断もあると見られる。
専務以下の役付役員は交代が行われる見通しで、栗原専務の代表権付与と一条専務の退任はほぼ既定路線とされる。
JR北海道の代表権者は、会長、社長、専務の3人というのが発足以来の通例だったが、中島社長時代には会長、社長の2人代表制で中島氏が亡くなって以降は小池氏の1人代表が続いている。栗原氏が専務のまま代表権を持つのか、副社長に昇格して代表権を持つのかによってその意味は変わってくるが、専務ポストを継続して代表権を付与し、次期社長の色を強くさせない選択になると思われる。
一条専務は、退任後に札建工業社長へ就く可能性が高い。
また、2人の常務のうち総合企画本部長の野島誠氏の専務昇格が有力視されている。野島氏と島田修常務・鉄道事業副本部長は東大同窓で野島氏が島田氏より1期上という。