ニセコ地域の物価高がツイッター上で話題となり、物価高である証拠として、スーパーで販売されている5万円のウニや3万円のキャビアの画像が投稿された。その画像だけを見れば、「ニセコで売られているものってこんなに高いの!」となるのも当然だが、実際に某スーパーの売り場を覗いてみると確かに数万のウニやキャビアもあるが、もちろん安いものもある。このツイッターだけでなく、これらの高額商品のみを紹介してニセコの物価高を印象付けるニュースサイトまで出てきた。こうしたニセコの物価高はフェイクニュースに近いものがあるようだ。(写真は、ニセコ地域のシンボルである羊蹄山)
5万円のウニや3万円のキャビアと聞けば、「そんなに物価が高いのなら旅行に行くのをよそうか」とか「地元の人たちも物価高でさぞ困っているだろう」などと、ついつい想像してしまう人も少なくないだろう。
確かにスキー場の近くなどリゾート現場では食事代や宿泊代が相当高くなっているが、ニセコ地域の街中ではごく普通の水準であり、物価高が起きていることは全くない。
実際にツイッター上で投稿された画像のスーパーに行ってみると、3万円のウニも売られていたが札幌や道内各地域のスーパーの値段と変わりがないウニも並べられてあった。1万8000円のキャビアもあったが、目立って高額だったのはそれらの商品であり、その他の商品は他の地域と同様の価格で販売されている。札幌のスーパーでも5万円のウニを置いているところはないようだが、なぜそんな高価なものをニセコの店に置くのかというと、売れるからに他ならない。高いものでも売れるから店は仕入れているのであって、物価高が押し寄せているわけでも何でもない。
ニセコ地域にスーパーを出店しているチェーン店は、この時期、売り上げが道内の他店舗を圧倒し堂々1位になることが多いという。外国人の買い物客が売り上げ増の理由だが、彼らは気に入れば数万円のワインやウニ、キャビア、フォアグラだって買う。ニセコの物価高はリゾートのごくごく限られた範囲でのことでしかない。にもかかわらず、切り取られた一部の高額商品を紹介して、さもニセコが物価高であり、それによって地元住民が住みづらくなったという間違った印象を与えかねない情報には違和感を感じる。