アークス銀座に殴り込んだ「北海市場山鼻店」の勝算

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「アークス銀座に北海市場(ほっかいいちば)が殴り込み」ーー言葉は過激だが、まさにそんな光景が札幌・山鼻地区で始まった。13日午前10時、札幌市中央区南22条西7丁目の商業施設「アクロスプラザ南22条」内にオープンした「北海市場山鼻店」。この界隈は、全国食品スーパーの雄、アークス(本社・札幌市中央区)のお膝元で同社子会社のラルズ(同・同)や東光ストア(同・同市豊平区)の店舗も多く出店しており、アークス銀座と呼ばれている。そんな地区に出店した北海市場に勝算はあるのか。(写真は、13日にオープンした「北海市場山鼻店」)

 店内に足を踏み入れると緑のカラーが多用されていることに気づく。壁紙や飾りつけは緑、柱にはレンガを積み上げた模様の壁紙、レジ近くの壁には巨大な本棚を描いた壁紙を使用している。北海市場を展開するモリワキ(本社・札幌市西区)の今野一彦副社長は、「デザインのコンセプトはグリーン。大人から子どもまで楽しめる店の雰囲気にした」と話す。

 約280坪の売り場の周囲に什器を配置しているのは普通の食品スーパーと変わらないが、中央フロアは什器が斜めに配置されており、まるで森の中を散策するような感覚で商品を手に取ることができる。「独自のレイアウトを採用することでお客さまが回遊できるような動線にした。いったん買い物を終えても、もう一度戻って買い物をしたくなるように工夫することで買い物時間を長くとってもらい客単価のアップに繋げるのが狙い」(今野副社長)

 青果や精肉、魚介類のスポット照明にも工夫が施され、商品が他のスーパーよりも映えて見え、購買動機をくすぐる。精肉コーナーに同社は初めてコンセッショナリー方式(売り場を借りて出店する専門店)として大三ミート産業(本社・福岡県田川市)を導入した。大三ミート産業は、全国258店舗の食品スーパーやドラッグストアなどにコンセッショナリーで出店しており、そのノウハウを同店で活用してもらい北海市場の得意とする青果、鮮魚との「ハイブリット効果を出したい」(今野副社長)と言う。

 北海市場というと、これまでは店舗デザインにこだわらない安売りのイメージだった。しかし、昨年10月に出店した「屯田店」(札幌市北区)からイメージが変わり、「山鼻店」はそれがさらに洗練された感覚だ。「単なる安売りではなく、良い商品、こだわりの商品を適正価格で販売するのが当社の考え方」と今野副社長。そうしたMD(販売政策)を採用している「屯田店」は、「イトーヨーカドー屯田店」の目の前にあるが、顧客の支持を得て売り上げは拡大中という。

 今野副社長は、こう結ぶ。「当社のような小型店を展開している食品スーパーは大手と同じことをやっても勝てない。我々の規模だからこそできる店づくりがある。身の丈に合ったこだわりの店をつくることでお客さまの支持を得ていきたい」

「山鼻店」のレジは6台でそのうち4台が支払いセルフレジ。寿司や弁当類は用意しているが、和・洋総菜は今のところ置いていない。同店の売り上げの半分以上が生鮮3品で占められ目標年商は約13億円。

 札幌市電に囲まれた地域には「スーパーアークス山鼻店」などラルズ5店舗のほか、「東光ストアプロム山鼻店」など東光ストア4店舗があってまさにアークス銀座。その中に殴り込みをかけた「北海市場山鼻店」は、どんな輝きを見せるだろう。

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