旧「玉光堂」は特別清算に入ったが、現「玉光堂」は営業を続けるーー同じ「玉光堂」という名前のため、少なからず利用客に混乱が出ているようだ。小樽がルーツの「玉光堂」は形を変え、中身を変えて生き残っている。(写真は、札幌市中央区の「玉光堂・四丁目店」)
6月27日、東京地裁から特別清算の開始決定を受けたのは小樽管財(小樽市)。この会社、もともとは1942年に小樽で創業したレコードやラジオ、楽器、CDやDVD販売の玉光堂という名称だった。しかし、時代とともに形を変え、中身を変えてしぶとく生き残ってきた。
東京商工リサーチによると、1996年2月期の売上高は81億9260万円。しかしそのころから普及し始めたインターネット配信と競争激化などによって売り上げは急降下。2007年には板橋開発(東京都豊島区)の傘下に入り、14年には板橋開発の関連会社バンダレコード(所沢市)を吸収合併、バンダレコードが展開していた本州店舗も運営するようになった。この時点で玉光堂は北海道と本州でCDやDVDを販売する企業になっていた。
その後、親会社はメディアリンクス(東京都墨田区)に変わり、18年9月、同社は子会社として新たに玉光堂を設立。その会社に旧玉光堂が展開していた事業を譲渡、旧玉光堂は休眠状態になり19年1月に社名を小樽管財に変更していた。
そして、3月1日にメディアリンクスと玉光堂は合併、新「玉光堂」が誕生。それを見届けるかのように3月31日に小樽管財は解散を決議、東京地裁に特別清算手続開始の申し立てを行い、6月27日に同地裁から開始決定を受けたという流れ。旧玉光堂時代からの負債を背負った小樽開発の負債総額は約30億600万円。
現在、玉光堂は北海道で「玉光堂」を16店舗、東北、関東、中部で「バンダレコード」を25店舗展開している。特別清算する旧「玉光堂」、形を変え中身を変えて生き残っている現「玉光堂」ーーその名前をどうしても手放したくなかったのだろう。1942年に生まれた「玉光堂」の名は、それほど「珠玉」のネーミングということなのかもしれない。