これもカラオケ業界の厳しさを示す一端かーー。札幌市豊平区西岡3条4丁目の水源地通にあった「レストランカラオケ・シダックス札幌西岡クラブ」が3月24日に閉店した。郊外型の大型カラオケ店で躍進してきた「シダックス」だが、今やその面影はない。「札幌西岡クラブ」閉店は、環境変化に対応できなかったカラオケ店の現実を示しているようだ。(写真は、3月24日に閉店した「レストランカラオケ・シダックス札幌西岡クラブ」)
「レストランカラオケ・シダックス」を展開してきたのは、シダックス・コミュニティー(本社・東京都練馬区)。食堂受託運営シダックス(同・同都渋谷区)の子会社で2004年ころは郊外型の大型店で一世を風靡、親会社シダックスの業績を下支えする存在だった。
しかし、カラオケを取り巻く環境は大きく変化、郊外型から都心部の繁華街立地へシフトし、転換できなかったシダックス・コミュニティーは一気に苦境に陥った。店舗数は、最盛期の04年当時の300店舗から18年3月末時点で180店舗とほぼ半減、売上高182億1200万円、純損失23億9800万円、債務超過額は32億6000万円にもなっていた。
そんな中、18年6月に「カラオケ館」を展開するB&V(本社・東京都練馬区)にシダックス・コミュニティーは事実上身売りされ、シダックスグループから離れた。
B&V傘下に入る前からも16年8月の「札幌厚別南クラブ」、同年9月の「札幌西野クラブ」など道内店舗の閉店を続けてきたが、B&Vグループ入りして以降、全国的に見ると22店舗を閉店、「札幌西岡クラブ」は23店舗目の閉店となった。
これによって道内の「レストランカラオケ・シダックス」は、「札幌駅前」と「旭川三条」、「函館五稜郭」の3店舗になる。カラオケ店の閉店という一つの事象の背後には、カラオケ業界再編という大きな流れがあった。