JR北海道(本社・札幌市中央区)のリゾート列車で2017年に役目を終えた「ニセコエクスプレス」を虻田郡ニセコ町に里帰りさせるため、26日からクラウドファンディングによる寄付金募集が始まった。ニセコ町鉄道文化協会やニセコ町教育委員会、有島記念館が起案者となって募るもので、目標額は950万円。期間は5月下旬までで、寄付者にはオリジナルの鉄道グッズやニセコ町の野菜などの返礼品が用意されている。(写真は、ニセコ駅構内のニセコエクスプレス=ニセコ町鉄道文化協会提供)
「ニセコエクスプレス」は、1988年に新千歳空港など道央圏とニセコ圏へのスキー客輸送を担う目的で、民営化後のJR北海道が3両編成気動車として道内で新規製造。
17年11月のラストランまで29年間、冬季はニセコ地域、夏季は全道各地を走行、観光振興の一翼を担ってきた。同年12月に廃車となり、18年10月には3両のうち2両が解体され、残る1両にも解体が迫っている。
そこで、ニセコ町鉄道文化協会など3者は、「ニセコエクスプレス」が同町の観光振興に果たした役割は大きく、町の「郷土資料」であり、道内で製造された車両として「産業遺産」でもあるとして、同町内の有島記念館敷地内かニセコ駅隣接地での保存活用を目的にクラウドファンディングで資金調達をすることにした。
第1目標は、車体の里帰り費用860万円、第2目標は車両全体の里帰り費用950万円。READYFOR(本社・東京都文京区)のクラウドファンディングサイトを利用する。目標額に到達すれば、JR北海道と譲渡契約を交わし、秋口にもニセコ町に移設したい考え。
ニセコ町鉄道文化協会は、町内にある蒸気機関車(SL)「9643」やSL急行ニセコ号の牽引車C62の転車台として移設して使われた旧新得機関区転車台など鉄道遺産振興を目的に19年1月に発足。会長は林知己・ニセコ町副町長。事務局は有島記念館(ニセコ町教育委員会)。
この事業のクラウドファンディングサイトは、https://readyfor.jp/projects/nisekoexpress