西江栄二・倶知安町長インタビュー「新幹線開業に合わせモノレールを走らせる」

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 2019年に大阪で20ヵ国・地域(G20)首脳会合が開催されることに伴って、観光閣僚会合が虻田郡倶知安町で開催されることになった。倶知安で国際会議が開催されるのは初めて。国際リゾート地として国内外に倶知安の魅力を発信する絶好の機会でもある。北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピック誘致が実現すればアルペンスキー会場になることが決まっており、ニセコスキー場を擁する同町は名実ともに世界のスキーリゾートの仲間入りをする。5つ星ホテルの建設も進むなど世界の富裕層が注目する倶知安町の西江栄二町長にインタビューした。IMG_2875(写真は、西江栄二・倶知安町長)
〈にしえ・えいじ〉1963年12月生まれ、札幌市出身。6歳から倶知安町へ。82年3月倶知安高卒、同年4月真狩村役場入庁。83年4月倶知安町役場入庁、2014年11月建設課長で退職、町長選に出馬。15年1月から現職。54歳。

 --G20観光閣僚会合が開催されますが、その意義や効果についてどう考えていますか。

 西江 ニセコの名前は国内外でよく知られていますが、倶知安はあまり知られていません。町民からも倶知安町という名前をしっかり売り込むべきだという声があります。国会議員や中央省庁の人たちも倶知安をよく知らない方が多い。来年のG20閣僚会合を開催することでニセコひらふ、ニセコ花園エリアは倶知安町に位置し、世界中から投資が集まり、5つ星ホテルなども建設されている国際リゾート地であることをしっかりと国内外にPRしたい。政府関係者やメディアを含めると300人くらいの規模になりそうですが、倶知安町でこうした国際会議が開催されるのは初めてなので大いに期待しています。

 --北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピックが開催される場合は、アルペンスキーの会場になりますが誘致は26年か30年かがはっきりしていませんね。

 西江 新幹線の札幌延伸によって交通アクセスが整っている中での開催が好ましいと思います。今年2月の平昌オリ・パラも高速鉄道があったため移動するのが容易でした。個人的には30年開催の方が良いのではないかと思います。

 --冬季オリ・パラの開催が決まれば世界のスキーリゾートの仲間入りをすることになりますね。

 西江 国際大会やオリ・パラ開催などの積み重ねで知名度が高まり国際会議も度々開かれるようになれば、様々な効果が出てくると期待しています。通年型観光や通年型雇用体系をつくり上げるという面でも、閑散期をMICE(企業等の会議や報奨・研修旅行、国際会議、展示会・見本市など)需要で埋めていくようにしたい。4~6月は、北海道で一番良い季節なのですが、当地は観光客が少なくて閑散としています。それでも外国人のコンドミニアムオーナーたちが、毎日の緑の移り変わりに気付いて『冬も良いけど春も良い』と口コミで相当観光客が増えてきました。ちょうど10年前にオーストラリア人のスキー客が口コミで増えていった状態と同じような広がりを見せ始めています。

 --街の中心部からスキー場へのアクセスには課題がありますね。

 西江 移動手段の確保は大きな課題です。新幹線が開通して倶知安駅に大勢の人が来てもスキー場までバスで運べない事態に陥るかもしれません。ひらふや花園エリア、東山エリアでは、ホテルやコンドミニアム、別荘の建設が進んでおり新幹線が開通するころには2万5000ベッドくらいになっているでしょう。
 スキー客や宿泊客をどうスムーズに移動させるか。バスだけでは難しいので、自動運転のモノレール建設を検討しています。働くスタッフたちも含めると3万人近くの移動需要が見込まれます。行政には資金がないので、民間を中心に新交通体系に投資をしてもらうスキームを考えたい。固定資産税などを減免して投資をしやすい環境を整えた方が街にもメリットがあります。企業の皆さん方と勉強会を組織して採算性など実現の可能性を探っていきたい。

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