札幌商工会議所は、北海道150年事業・北海道みらい事業の一環として、ミュージカル「松浦武四郎~カイ・大地との約束~」を開催する。札幌開催は8月22日と23日が一般公演で、9月11日と12日は札幌市内と石狩管内の小中学生3000人を無料招待する。(写真は、ミュージカル「松浦武四郎~カイ・大地との約束~」のリーフレット)
2018年は、本道が北海道と命名されてから150年の節目の年。北海道の名付け親である松浦武四郎をキーパーソンに様々な記念事業が計画されており、改めてアイヌ文化が発信される年になる。2020年には、白老町に『民族共生象徴空間』が完成しアイヌ文化のランドマークが構築されることになっており、それに向けて今年はアイヌを知り、ともに生きていくことの重要性を再認識する絶好の機会ともなる。
こうした中、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構や公益社団法人北海道アイヌ協会、札幌アイヌ協会、札幌商工会議所、北海道新聞社、わらび座などでつくる実行委員会が主催して北海道の名付け親である松浦武四郎をテーマにしたミュージカルをわらび座が制作、公演することになった。わらび座は、30年ほど前にもアイヌ舞踏集「あらぐさの花」を制作、全国で200回以上公演した実績がある。
武四郎が新政府に本道の名称を「北加伊道」とすることを提案したのは、天塩川を調査した際、地元の古老から「我々はこの土地に生まれた者をカイという」という話を聞いたことに由来している。武四郎は、カイという言葉に熱田大神宮縁起に出てくる「加伊」をあてた。「北加伊道」という名には、北のアイヌ民族が暮らす広い大地という意味合いと先住民族であるアイヌの人々を尊重する武四郎の思いが込められている。
脚本、演出は、わらび座に入座して役者から脚本、演出を手掛けるようになり数多くのミュージカル作品を制作している栗城宏氏が担当。栗城氏は北海道大学を卒業してアイヌ文化にも造詣が深い。栗城氏は、武四郎が蝦夷地に渡りアイヌの知恵と誇り高い生き方に強く惹かれていく姿や和人による過酷な支配に心を痛めつつもアイヌと和人が対等に生きる道を探り始める生き方を描くという。武四郎役は、わらび座公演でわらび座を代表する俳優、戎本みろ氏が務める。
札商では、これから北海道を担っていく子どもたちの鑑賞を促進して次の50年に向けた北海道づくりに貢献するとともに、世代を超えて感動を共有してもらい北海道150年の年に道民の心を一つにする効果も期待している。
札幌公演は、一般公演が札幌市中央区のニトリ文化ホール(収容人員2300人)で8月22日(水)と23日(木)、札幌市内と石狩管内の小中学生3000人を無料招待する公演は、わくわくホリデーホール(同1500人)で9月11日(火)と12日(水)に開催される。公演時間は90分間。一般の入場料金は大人4500円、高校生以下2000円で、6月1日からチケットの発売を開始している。
札商会員組織部の小松和行部長は、「ミュージカルを通じてアイヌの方たちとの共生を目指す機運を醸成したい。大人も子どももこのミュージカルを見てもっと北海道を好きになってほしいですね。小中学生を招待して公演する際には、商工会議所の役割をわかりやすく解説する冊子も配布、会議所を知ってもらいたいきっかけにもしたい」と話している。