札幌市教育委員会庁舎跡地はメディカルシステムネットワークが取得、医療福祉機能備えた集合住宅建設へ

札幌市政

 札幌市教育委員会庁舎跡地は、東証一部上場のメディカルシステムネックワーク(本社・札幌市)が取得し、医療福祉機能を備えた複合集合住宅を建設する方向で固まった。札幌市が31日に開く「旧教育委員会庁舎事業変更審査委員会」で正式決定する。この土地は2007年2月に一旦売却されたが、取得先企業が破産、活用策が決まらずに宙に浮いていた。メディカルシステムネットワークが事業化を進めることで4年半ぶりに土地利用が進むことになった。(写真は札幌市教育委員会庁舎跡地=2011年5月27日撮影)
 
 市教委庁舎跡地は、札幌市中央区南1条西14丁目市電沿いにあり土地面積は約3105㎡。札幌市は周辺環境を勘案し、医療福祉機能を備えた複合集合住宅の建設という縛りを設定した上で公募提案方式での売却を採用。07年2月にライフコート(本社・東京)が11億5000万円で落札した。
 
 ライフコートは土地取得後に住友信託銀行と信託契約を交わし、新たにSPC(特定目的会社)を設立して信託受益権を譲渡。北洋銀はSPCが持つ信託受益権に質権を設定してライフコートの土地売買資金を融資していた。
 
 しかし、ライフコートが09年末に破産。SPCは、倒産から隔離されており法的影響は受けない仕組みになっていたが、事業を実質的に行うライフコートの関係会社が機能せず、具体的な事業プランが進まなかった。
 
 市は売却後3年以内に建物の竣工を義務付けていたが、半年間の延長を認める措置を取ったものの、その後も具体化しなかったために市はSPCによる事業化は不可能と判断。
昨年11月には、SPCに質権を設定している北洋銀行が質権を実行し、北洋銀行主導で事業主体を探すことになり、このほどメディカルシステムネットワークが事業を引き継ぐことになった。
 
 市は公募提案で売却した土地であることから、メディカルシステムネットワークの計画を審査会で目的に合致しているかを審査することにしており、きょう31日にその審査が市役所内で行われる。審査会のメンバーは07年2月にライフコートを選定した小林英嗣北大名誉教授など民間3人と市役所部長職2人の計5人。
 
 審査会でOKが出れば、市は6月中に北洋銀行に通知し、メディカルシステムネットワークは年内にも着工という段取りになる。
 
 07年2月の売却からまもなく4年半、「街づくりの観点から言っても、札幌市としてはできるだけ早く活用されることを望んでいる」(市長政策室)としている。

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