迫る解体「千秋庵製菓本店ビル」(札幌南3西3)

経済総合

 札幌市中央区南3条西3丁目の千秋庵製菓本店が10月31日で閉店、11月1日から近くの千秋庵別館に移転する。これに伴い本店ビルの解体、新しい建物の建設に進むものと見られる。ただ、新しい建物の概要は明らかになっておらず、「外資ファンドが新建物を所有する」、「新建物の上層部にホテルが入る」など噂が飛び交っている。20171013_135828(写真は、解体時期が近付いている千秋庵製菓本店ビル)

 千秋庵本店ビルは、1966年に竣工。地下2階、地上11階建てで延床面積は約1393坪(約4600㎡)。地下は札幌地下街ポールタウンとも接続している。1階は、千秋庵製菓の本店が入り、上層階にはテナントとして飲食店や不動産業者が入っていたが、築51年が経過して老朽化してきたため、解体が具体化。

 テナントは既に退去、千秋庵製菓本店も10月末で閉店し、隣接する千秋庵別館1階に移転、11月1日から営業を始める。本店の名物だった地下90mから汲み上げる伏流水「札幌のおいしい水」が飲めるカフェも10月29日で営業を終了する。

 本店ビルの土地登記簿を見ると、今年7月28日付で岩田地崎建設(本社・札幌市中央区)が抵当権設定仮登記を行っている。同日付で、2012年3月に千秋庵製菓が安正観光開発(江別市)との間で結んだ買戻特約付の所有権移転は抹消されている。つまり、12年3月に所有権は一旦、安正観光開発に移転したが、千秋庵製菓が17年7月28日付で買戻特約を実行して千秋庵製菓に所有権が戻ったことを示している。

 岩田地崎建設はその千秋庵製菓に対して、「売買契約締結による手付金返還債権」の担保として、土地に抵当権設定仮登記を行った。債権額は1億2380万6080円で端数が付いている。
 単純に考えれば、千秋庵製菓が第3者と土地売買の契約をして、手付金を岩田地崎建設に返還すれば土地の抵当権は抹消されることになる。その際、新しい建物の施工を同社が優先して担当することになりそうだ。

 こうした土地の動きとは裏腹に、新しい建物の概要は見えてこない。札幌のメーンストリートである駅前通に面した一等地の建て替えだけに、市民の関心も高い。解体が迫る中、次の青写真を早く知りたいものだ。

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