1993年から制度化されて設置が始まった道の駅。道内各地の自治体も休憩機能や情報機能、地域振興機能の3つを備えた道の駅設置に取り組み、現在では112ヵ所が営業している。しかし、制度化から18年、道の駅は人気、不人気の差がくっきり現れてきた。その差は直接、収益に跳ね返ってくる。中には自治体のお荷物になっている道の駅も出ている。(写真は道の駅「あしょろ」のパンフレット)
毎年、道内の道の駅をランキングしている「じゃらん」によると、2010年と11年のベスト10は次の通り。
2010年=①うとろ・シリエトク(斜里町)②流氷街道網走(網走市)③もち米の里☆なよろ(名寄市)④絵本の里けんぶち(剣淵町)⑤ぐるっとパノラマ美幌峠(美幌町)⑥くろまつない(黒松内町)⑦フォーレスト276大滝(伊達市)⑧なかさつない(中札内村)⑨花ロードえにわ(恵庭市)⑩ウトナイ湖(苫小牧市)
2011年=①絵本の里けんぶち②ぐるっとパノラマ美幌峠③流氷街道網走④厚岸グルメパーク(厚岸町)⑤サロマ湖(佐呂間町)⑥知床・らうす(羅臼町)⑦うらほろ(浦幌町)⑧もち米の里☆なよろ⑨ライスランドふかがわ(深川市)⑩くろまつない
トイレや情報提供、お土産など利用者の満足度を調査したもので2年連続ベスト10入りしているのは、5ヵ所に及び人気の道の駅はほぼ定着しているのが分かる。
観光地に近いことや交通量が多いことなど、道の駅の利用者数は設置場所によって左右されるが、人気を呼ぶ決め手は設置に至るまでのマーケティングに尽きるという。
じゃらん誌のランキングでトップ10のうち5ヵ所を企画段階から手がけたマイダスの高島一郎会長は、「考え方としてハコモノから入るのはダメ。交通量などマーケットを調べて適切な規模と中身を検討したうえで、最後の最後に設計に入る手順が必要」と言う。
マイダスが手がけた足寄町の「あしょろ銀河ホール21」は、ベスト10にはランク入りしていないが、詳細なマーケット調査をした上で、ふるさと銀河線の足寄駅を使い、レールを保存し列車を再現。「銀河線の臭いをプンプンさせて歴史を感じられるようなコンセプトで設計した」(高島会長)
今年4月18日に増築してリニューアルしたが、大型連休中も好調な客足だったという。
焼きたてパンを提供するベーカリーや地元食材を使ったレストランやテイクアウトコーナー、特産ラワンブキの加工品など地元産品のショップの連休中の総売り上げは、以下の実績だった。
4月29日68万円、30日70万円、5月1日78万円、2日61万円、3日120万円、4日108万円、5日84万円。
道の駅は、ソフト機能を組み込んだハコモノとして町起こし、村起こしの起爆剤にしようと自治体の導入機運は依然として強い。
しかし、道の駅が始まって18年、初期の施設では浄化槽などの更新時期を迎えたり施設の陳腐化が進んでいるところもある。
休憩機能、情報機能、地域振興機能の3要素のうちで最も重要な地域振興機能をどう拡充させていくか、設置者である自治体の姿勢次第でお荷物になるケースもある。
道の駅の勝者と敗者は今後ますます顕著になり、文字通り淘汰の時期を迎えることになる。