小泉元首相、人生の本舞台は常に将来に在りと“脱原発”を力説

社会・文化

【北方ジャーナル提携記事】積雪地帯で除排雪される雪や氷を、冷熱エネルギーとして有効活用する取り組みを推進しているNPO法人雪氷環境プロジェクト(小嶋英生理事長)は8月24日、設立10周年を記念した講演会を札幌市中央区の札幌パークホテルで開催した。講師を務めた小泉純一郎元首相(74)は「日本の歩むべき道」をテーマに約1時間30分、国内における再生可能エネルギーのポテンシャルやそれに伴う脱原発の正当性などについて熱弁をふるった。小泉 ブログ用(引退してもなお“脱原発”で小泉節は健在=8月24日夕、札幌パークホテルで)

「札幌では毎年200億円もの費用を除雪に使っているという。雪は札幌市民にとって厄介者になっているが、この雪を再生可能エネルギーとして活用しようという(同NPOの)考え方に私は大賛成だ」
 詰め掛けた約千人の来場者を前に、雪氷エネルギー活用の意義を力強く語った小泉氏。以降、自然エネルギー全般が持つ国内エネルギー自給のポテンシャルについて触れた後、いよいよ本題を切り出した。
「自然エネルギーの利用で、原発なんかなくても十分にやっていける」と得意の断定口調で聴衆の心を掴む。
 
 その後は、脱原発の持論に終始。
「原発事故から5年5カ月、事実上原発ゼロでもやっていけたではないか」
「今年も暑い夏だったが、節電要請はなかった」
「既に電力供給量の10%が自然エネルギー。危険な原発に頼るより、安全な自然エネルギー活用の割合を高めるという発想をなぜしないのか」
 そして、
「電力会社も経産省も優秀な人ばかり。だが、脱原発は可能というこんな易しい問題を、なぜ彼らは解けないかね」
と語った際は、会場がどっと沸いた。
 
 また、「日本の原子力規制委の審査基準は世界で一番厳しいというが大ウソ。米国では、避難計画がしっかり定まらなければ原発は作れないし、加えて、テロ対策で米国の原発には兵士が常駐しているではないか」と話した後に、
「私が『原発安全神話はウソだ』と言った後、官僚から何か文句や苦情があるかと思ったら、誰からも何ひとつなかった。それは、私の言っていることが正しいからでしょう」
と、まだ記憶に新しい小泉節でまくしたてると会場のボルテージは一気に高まった。
 
 講演の結びには孔子の論語から次の言葉を引用。「過ちを改むるに憚ることなかれ。過ちを改めざる、これを過ちという」と語ると会場から多くの拍手を浴びた。
 そして、「人生の本舞台は常に将来に在り。将来のことを常に考えて向上心を持ち、まだまだ原発ゼロ運動をやっていきますよ」と締め括った。

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