仁木町と菓子製造販売のもりもと(本社・千歳市)は24日、地方創生の一環として地域連携包括協定を結んだ。もりもとは、仁木町産の果樹やフルーツなど特産品を使った果実ゼリーなどを生産販売してきた土台があったため、協定締結で食育や6次産業化、観光振興など踏み込んだ協働体制を取ることにした。協定を仲介したのは、北海道銀行(本店・札幌市中央区)。金融機関が自治体と企業の仲立ちをするケースは珍しい。(写真は、協定を締結した佐藤聖一郎仁木町長=中央、もりもと森本吉勝社長=左。右は立会人の道銀森山正徳執行役員)
協定締結の発端は、2年前にもりもとが取引のあった道銀に新商品開発に必要な果樹などの調達先の相談をもちかけたこと。道銀はサクランボやブドウ、ミニトマト、ブルーベリーで道内一の生産量がある仁木町を紹介。もりもとは、仁木町の農産物を使った菓子を商品開発、菓子メーカーの中での差別化に成功した。
商品開発の過程で、もりもとは仁木町のサクランボ在来種だった水門(すいもん)の酸味に着目、佐藤錦に押されて作付が縮小していた水門の復活にも道を開く役割も果たした。
道銀が自治体と地元農家・JA、企業の繋ぎ役となり地域振興と企業成長を両立させたモデルケースとなったため、さらに町ともりもとが連携協定を結ぶことによって幅広い協働体制を取れるようにした。
今後、町や地元のJA新おたる(本所・仁木町)がもりもとと共同で事業を始める場合に道銀はファンドからの投資や融資を行うほか、販路拡大、6次化支援で協力する。また、町民との交流や食育、観光振興などで協定の深堀りもしていく。
24日は協定締結の立会人となった道銀の本店で仁木町の佐藤聖一郎町長ともりもとの森本吉勝社長が協定書に調印した。佐藤町長は、「幅広い視点から連携が必要と考えて私から呼びかけ、道銀の力添えもあって締結に至った。本町農業にとって極めて意義がある」と述べ、森本社長は、「町と協力して新しい素材をもとにした美味しいお菓子を作っていきたい。道民に期待してもらえる商品をどんどん作りたい」と話していた。
協定締結に立ち会った道銀の森山正徳執行役員は、「当行は農業を成長分野としており、引き続き地域金融機関として道内農業者の質の高い生産物に付加価値をつける6次化を支援、地方創生、地域活性化をバックアップしていきたい」と語った。
地方創生では金融機関の役割が重要とされているが、自治体と企業をマッチングさせビジネスを通じた地域活性化の道筋を付けるケースは珍しい。道銀は、こうした仲介機能を如何に自行の果実(収益)に繋げていくかがポイントになりそう。
(仁木町産のサクランボ「水門」)