JAグループ北海道の4会長が、東日本大震災で被害を受けたJA宮城などを訪れ、農業の被災状況について情報交換を行った。4会長は、深刻な被災状況に思いを致すと同時に改めて東北から北関東にかけて農業が基幹産業として地域経済の根幹を支えているという現実を知ったという。
4会長が現地入りしたのは、4月7日。
山形で宿泊した際には、震災後最大の余震に襲われホテルは停電。被災地やその周辺では、未だに通常生活に戻れない困難な状況と隣り合わせにいることを4会長は体感、被災地への思いをより強くしたという。
翌日、JA宮城の水田や畑作の冠水状況などについて情報交換、今後の協力体制などについて話し合われた。
当初の行程では青森を経由して札幌に戻るルートだったが、前日の余震の影響で青森への交通手段が途絶。一行は、急遽仙台から東北自動車道を通って東京へ向かい、東京から空路札幌に戻るルートを辿った。
仙台から東京まで車で5時間の長旅だったが、ある会長は東北自動車道の沿道が延々と続く農業地帯であることに感銘を受けた。
「5時間の移動で車から見える景色は、見渡す限り畑作や水田地帯が続いていた。地方に行けば日本の国中に同様の景色が広がっている。地域を大事にするということは農業を守るということにつながることに改めて思いを深くした」とその会長は語っている。
被災地での復興の根幹は、やはり農業と漁業が核になる。一次産業が地域の生活を支える要になることは疑う余地もない。
その会長は、「TPP(環太平洋経済連携協定)への参加は、こうした地域の経済や景観を台無しにすることにつながる。一次産業で支えられている日本の国土とTPPの考えは一致しない」という思いを一層強くした。
JAグループ北海道の4会長は、現地入りで復興と農業の強い絆を肌で感じたに違いない。北海道農業のリーダーである4会長の今後の発信力に期待がかかる。