苫小牧を本拠に食品スーパーを展開している豊月は、今年9月に札幌市手稲区前田に新店舗を出店する。既に江別市大麻や苫小牧日新町で出店している“高質スーパー”のタイプで総菜類などを充実させる。周辺には競合店が多いが、豊岡憲治社長は、「客層が違うので他店との棲み分けは可能」と言う。(写真は、9月2日に開業予定の手稲前田店イメージ図)
出店場所は、札幌市手稲区前田7条11丁目。オリックスが土地を所有者から借り、豊月やサッポロドラッグストアー、エービーシー・マートがそれぞれリースバックで店舗を建設する。
豊月の食品スーパーの店舗面積は、約650坪で、建設コストは坪37万円。開店日は9月2日。この土地は、コープさっぽろも狙っていたため、土地の賃借料が若干高止まりしたという。
豊月は、札幌市内で清田区平岡、美しが丘にそれぞれ「フードD食彩館」を展開、今回は初めて札幌市の西部方面に出店することになる。
同社は、昨年9月に「フードD LISTA店」(江別・大麻)、11月に「フードD Vian店」(苫小牧・日新町)を出店、これまでのコンセプトを変えた高質スーパーを展開している。総菜類の充実とともに店舗従業員の対応や店の清潔さなど、店舗そのものの高質を目指したもの。
食品スーパー各社がディスカウント合戦を続けている中で、価格とは一線を画した独自色を出すのが狙いだ。
今回出店する手稲前田店も、こうした高質スーパー展開の一環で、総菜部門は対面オープンキッチンにして作り手の顔がお客から見えるようにするほか、「阪急オアシスの店作りを参考にしたい」(豊岡社長)
高質スーパーといいながらも、価格面での安さも追求しており、「値段が高いのではなく、品質が良いのにこの値段、という意味を含めた高質で、追求するのは“クォリティ&ディスカウント」(同)
店長候補は既に「LISTA」で店長心得として実地訓練をしている。
同社はルーツの土地である芦別に1店舗のほか、苫小牧、千歳、恵庭、札幌、江別と展開し現在12店舗。
豊岡社長は、「ローカルの食品スーパーとして生き残るためには15店舗が限度だと思う。今年の手稲前田店で郊外への出店はひとつの区切りにしたい。来年にはさらに1店舗の出店を考えているが、郊外ではなく中心部になるだろう」と述べている。
来年の出店場所は、札幌市の中心部の人口密集地。中心部には、食品スーパーが不足している地域もあり、苗穂、山鼻、琴似などを想定しているようだ。「高質スーパーなら狭い商圏でも駐車場を含めて1000~2000坪があれば、年間売り上げが15~18億円でも利益が出せる」(豊岡社長)としている。