2010年度札幌市子ども議会の本会議が11年1月7日、札幌市議会議場で開かれた。子ども議会は市内の小学5年生から高校生まで61人の子ども議員がテーマごとに4つの委員会に別れてまちづくりについて考え、アイデアを市長に提案するもの。雪まつりや図書館利用などユニークな提案に上田文雄市長は答弁、想定外の質問にタジタジになる場面もあった。
委員会は「新・雪まつり推進委員会」「チェンジ~罪を花に~委員会」「ブックスプロモーション委員会」「グリーンサッポロ委員会」に別れてそれぞれ提案を行った。
具体的には、雪まつりの会場に市民が観光客をおもてなしする交流広場の設置や交流広場をPRするポスターコンクールの開催、地域の防犯対策として花いっぱい運動の積極的なPR、読書への興味がわくようなイベントを学校で行って欲しい、親子で楽しく学べる緑化イベント開催など。
ブックスプロモーション委員会の提案について北原敬文教育長が、「市内の図書館には合計200万冊の本があるが、ネットで学校から借りることができる仕組みを採用している学校がある。これを全部の小・中学校でできるようにする。また、中学校では図書館ボランティアを派遣して学校図書館をより利用してもらう取り組みをしている」と答弁。
4委員会の提案に対する答弁が終了後の行われた再質問では、市議顔負けの鋭い突っ込みに理事者側も苦笑い。「市が支援しているマイタウン・マイフラワー運動で犯罪はどの程度減ったのか」や「雪まつりへの私たちの提案は具体的に何時から採用してもらえるのか」と畳み掛けるような発言も出た。
上田市長が「想定外の質問」と答弁に窮したのが「市長がお薦めする本は?」という質問。
弁護士出身で本好きと思われている市長だから、ストレートな答弁をすると期待されたが、意外にも逃げの姿勢。「小学校6年のころはシャバイツァー博士や野口英世の伝記本を良く読んでいた」「中学校では音楽好きだったので、『ジャンクリストフ』などを読んでいた」と答えた後で、「大谷地にくすみ書房があって、そこの久住さんは『中学生はこれを読め』とお薦めの本を提案している。図書館にも久住さんが提案している本があるので、読んで欲しい」と逆提案で締めくくった。
子ども議会は、子どもたちがまちづくりについて自分たちで考えるきっかけの場。提案には具体性があり、子どもたちの問題意識には大人に欠けている視点も含まれている。
上田市長に「想定外の質問」と言わせた子ども議員の予期せぬ再質問には、子どもの持つ自由な発想が感じられる。そんなワクワクドキドキする感覚を大人の市民や理事者側が取り戻すきっかけという意味でも子ども議会の役割は大きいのではないか。
(写真は、1月7日に札幌市議会議場で行われた子ども議会の提案場面)