IMG_9887IMG_9902 来年春の札幌市長選に向けて前札幌市副市長の秋元克広氏(58)が16日に札幌市内のホテルで記者会見、出馬を正式に表明した。秋元氏は札幌が人口減少や超高齢化、エネルギー問題などによってハード、ソフト両面から創り変えていく転換期に来ているとし、市政を担うリーダーには的確な判断力と即戦力が求められるため「市政35年の経験がある私が立たなければならないと決断した」と出馬を決意した理由を示し、政策を貫くキーワードとして『つづける、つなぐ、つぎへ』を掲げた。(写真左は出馬会見する秋元前副市長、写真右は「出馬にあたって」と題した政策冊子)
 
 秋元氏は夕張市出身で北大法学部卒。「札幌に住み続けたいという思いと街づくりに関わってみたいという動機から」札幌市役所を就職先に選んだという。入庁後は、広報、経済局、情報産業振興、企業誘致、交通計画や企画部など札幌の魅力を高めていく仕事に関わり、南区長として地域住民に直接かかわったほか市長政策室長時代は市政全体を俯瞰して全体調整を担う仕事も経験。直近は副市長として都市経営を補佐、まちづくり戦略ビジョンの策定にも関わってきた。「少子化や超高齢社会、人口減少への対応には価値観を転換して危機意識を持って取り組んで行かなければならないという思いを強く持った」と強調。
 
 9月1日に経済人有志らの出馬要請を受け5日に辞職して自ら出馬する結論を出したという。会見では政策を貫くキーワードに『つづける、つなぐ、つぎへ』を掲げ、基本姿勢として挑戦(チャレンジ)、時代に即した変化(チェンジ)、市民との対話(コミュニケーション)の3つのCを大切にするとした。
 
「私が描く札幌の未来像」として①雇用を生み出す力強い経済が鼓動する街②女性が輝き活躍できる街③子どもたちが健やかに育つ街④いつまでも安心して暮らせる街⑤魅力と活力に溢れた暮らしやすい街⑥行財政改革など市民とともに不断の改革を進める街――の6つの挑戦を示し、最も力を入れる挑戦に経済・雇用を挙げた。中小企業の生産性向上や販路拡大のチャレンジを応援、道内の経済循環を意識しながら北海道全体の強みを生かした観光と食を札幌経済の成長分野と位置づけ北海道と連携しながら重点的に深耕するとした。
 
 また、女性や子育てに関する政策では、札幌が人口比で女性の割合が高い街であり、一層発展していくためには女性が能力を存分に発揮できる環境を整えることが重要と捉え、子育てや家事への男性の意識改革、職場の理解など社会全体で子育てを支える仕組みづくりを実践し女性がさらに輝き活躍できる街を作ることを訴えた。
 
 地下鉄延伸については、「交通体系全体の中で市民の声を聴きながら整理したい」と語り、原発再稼働は「現状では市民の理解は得られていない」として消極的な姿勢を示した。冬季札幌五輪については「是非誘致したい」と語った。
 
 行財政改革は継続する考えを述べたが、「市債返済のピークは過ぎ市役所職員の団塊世代大量退職による人件費増は峠を越した。財政は健全な状態になったので今後は一定程度投資できる環境になる」として老朽化したインフラのリニューアルを含めて再開発など民間投資を呼び込む公共投資を行うことを示した。
 
 上田文雄市長の後継という見方については、「数多くの歴代市長がこの街を創りあげてきた。私はこうした歴代市長の思いを引き継いでいきたいと思っている」と延べるにとどめ上田市長を評価する点として市民参画と道内連携を進めた点、街中の賑わい創出を挙げた。
 
 秋元氏は支持基盤について「国政と違って地方自治体は特定政党のイデオロギーに偏った政策をするべきではなく、一人ひとりの市民の声をできる限り政策に反映させていくことが大事。私は市民党として幅広く支持を訴えることで自分のカラーを出したい」と語った。
 今後多くの市民や団体の意見を聞いたうえで年内に具体的な政策の具体的な中身を発表する。
 
 会見は約50分間で、前半20分は秋元氏が出馬経緯や政策の柱について話し、残り30分は記者との質疑になったが、そつなくこなすスマートな対応が印象的だった。プロフィールに「人に言われて印象的だった言葉」とし秋元氏は【小学校の恩師の『きみは理性と感性、積極性と慎重さを合わせ持つバランスの良さが長所』という言葉】と書いている。会見の50分間を通してまさにこの言葉通り、バランスの良さがあった。サブからトップを目指す立場になった今、市民の共感を得る人間臭さをどう表現していくかも課題になりそうだ。


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