十勝圏有力建設会社に飛び交う風評

経済総合

十勝圏の有力建設会社の経営悪化が取り沙汰されている。この会社は、公共事業とともに民間建築分野も大きなウェートを占めている。土地を仕入れて建物を建設し、その不動産を証券化して収益を得るビジネスを展開していたが、不動産証券化の市場が冷え込んでおり、証券化できずに土地・建物を抱え込んでしまっているからだ。土地を仕入れたり、建物を建設する資金は金融機関からの借入れが中心のため、返済負担が大きいようだ。


事業そのものを手掛けているのは、その建設会社の子会社、孫会社に当たるが債務がその会社に及ぶのかどうかは不透明。ただ、一般的に考えれば、親会社が債務保証等を行っていると見られ、無関係とはいかないようだ。
その建設会社は、トンネル工事や道路、橋梁、河川・ダムなど公共工事では技術力を持つ有力企業。ただ、公共事業が大幅に減少する中で、民間建築の比重を高め住宅・マンションや商業施設、病院・福祉施設などを建設してきた。
ところが、民間建築分野も住宅・マンション建設が減少、比較的堅調だったのが商業施設もデフレと消費低迷で、出店を抑制するところが徐々に増えていた。そんな中でも出店意欲が旺盛だったのがA食品スーパー。同社はA食品スーパーと組み、施行実績をあげてきた。
前述したように土地を仕入れて建屋を建設するのは建設会社。A食品スーパーはその建物を借りるリースバック方式で店舗を運営するスタイル。建設会社は、土地建物を証券化して売却、投資家は賃料を配当として受け取る仕組みだ。
しかし、リーマンショック以降の証券市場の落ち込みで、不動産証券化ビジネスは低迷。その結果、建設会社の借入れ負担が業績を圧迫、経営悪化に拍車をかけるようになったという。
公共事業の大幅減少は道内建設会社を苦境に落として入れている。地場最大手の伊藤組土建も2010年3月期は営業損失7900万円を計上、本業で利益を生んでおらずリストラを断行して生き残りの荒療治を進めている。十勝圏の有力建設会社は、危機打開の突破口として取り組んだ不動産証券化ビジネスで傷を深めたようで、正念場を迎えているという声がもっぱらだ。

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