道と札幌市の仲の悪さは修復不能の段階まで来ているようだ。同じ公務員同士なのに「なぜ?」と思うが、向いている視線がまるで違うためお互いに疑心暗鬼に陥っているためだ。
札幌市は政令指定都市で行政上、道に頼ったり共同で行政案件を進めたりする必要がない。国と直結しているわけで、そういう意味では札幌市にとって道の存在意義はないに等しい。
道にとっても、札幌市のことは札幌市がやれば良いという立場で、道にとっては治外法権的な感覚で接している。
札幌市の場合、様々な行政を実行しようとするとその視線の先には市民がある。勿論市議会というチェック機関はあるが、市民に対する説明責任は大きなウエートを占める。
一方、道の場合は道民と直接接するのはごく限られた分野で、多くの仕事は市町村を相手にした仕事だ。道は道議会に対して視線を向けており、道民への説明責任は殆どないといっても良い。つまり、道にとって道議会こそすべてなのである。
道が苦手とする住民対策の典型として挙げられるのは、新千歳空港滑走路延長や24時間化を巡る地域住民との交渉だ。滑走路延長の取引材料に使った空港の第2ターミナルビルの建設では、結局住民との約束を反古にした。道と住民との感情的なしこりは残り、現在進めている24時間化の交渉に入るまでに6年間の塩漬け期間が必要だった。
北海道新幹線についても、函館―新函館間を経営分離するというJR北海道とそれに猛反対する函館市との調整は進展を見せていない。
住民への説明責任が絶えずついて回る札幌市との交渉力とはかなりの開きがあるようで、札幌市幹部は「道はもっと泥臭い議論をしたほうが良い。ペーパー上で机上の議論をしても、その通りに物事は進まないのだから」と苦言を呈する。
その幹部はさらにこう言う。「国交省の方がよっぽど頭が柔らかい。例えば交付金でも何とかしてあげようという気持ちがあるから、様々な逆提案をしてくるほど。それに反して、道は未だに頭が固い」
道の反論はいずれ紹介する。
(写真は上が道庁、下が札幌市役所)