「3年から5年で500億円、近い将来は1000億円を目指す。やれる自信が付いた」――アインファーマシーズ(本社・札幌市白石区)の大谷喜一社長はドラッグストア事業の見通しをこう語る。究極の姿は、ドラッグストア業界でのSPA(製造小売業)だ。ドラッグストアの同質化競争から離れ、差別化を進める大谷社長に将来像を聞いた。(写真は、大谷喜一社長)
――7月に東京・新宿の複合ビル「ミラザ新宿」に「アインズ&トルペ」をオープンしますね。
大谷 地下1階から地上2階の3フロアで約400坪の店だが、新宿ではインバウンド需要が非常に大きい。この出店で新宿界隈の外国人観光客の流れが変わるだろう。「ミラザ新宿」もそうだが、9月に札幌・大通の旧丸井今井東館跡(直営部分は約450坪)に出店するのも、「アインズ&トルペ」の積極拡大策の嚆矢(こうし)にするためだ。
――これまで主力の調剤薬局の展開にヒト・モノ・カネを注いできましたが、ドラッグストア事業に本腰を入れるということですか。
大谷 調剤薬局は2000億円に迫る規模になり、きちっと積み上げて行けばまだまだ伸びて行く。ドラッグストア事業はまだ200億円に満たない規模で時間をかけて成長させていこうと考えていた。郊外では同業他社との競争が激しく負けないまでも勝つことはなかなか難しいので都市型出店を重視していたが、この地の利が生きてきた。
「原宿クエスト店」や「西武池袋店」をリニューアルしてMD(商品政策)を見直して集客力向上を図り、インバウンド(海外観光客)需要を取り込むなどした結果、格段に効果が出てきた。いずれも5割を超える売上げの伸びがある。リニューアルとインバウンドの相乗効果で非常に収益力が高くなったため、「いける」という実感が出てきた。
東京駅ナカにある店舗もここ4年間で毎年3割近く伸びており、インバウンドの動向を見ながら年内か来年はじめにリニューアルする。
――アインズ&トルペは殆ど駅に直結したターミナル型ですが、今後は店舗面積も広くしていく戦略ですか。
大谷 これまでは最大でも200坪程度だったが、ミラザ新宿が400坪、札幌・大通が450坪。今後はこのくらいの規模の店舗を増やし、商品構成も変えてオリジナル商品も投入していく。自社の化粧品ブランド「リップス&ヒップス」の投入やアクセサリー・雑貨の自社ブランド「ココデシカ」の品数も増やしており、それ以外にもオリジナルなものを増やしていく。ドラッグストアとしてはかなり野心的で他のドラッグストアとは違うレベルになっていくだろう。
――札幌・大通の店舗はどんなイメージでしょうか。
大谷 ショッピングセンターの名称は「ル・トロワ」(仏語で3世代の意)全館のテナントが決まった。7、8階2フロアのレストラン街には、ステーキ、イタリアン、ビアホール、フレンチなどが入り、1階のカフェも決まった。2層を使うアインズ&トルペで年商は20億円ほどになりル・トロワ全体では約50億円になるだろう。7月の「ミラザ新宿」のオープンから道内でもCMに女優の多部未華子さんを起用するが、9月のル・トロワオープンの際には多部さんも呼んで盛大にオープニングセレモニーを行いたい。