札幌信用金庫(本店・札幌市中央区)は18日、東京ドームホテル札幌で政治ジャーナリストの田勢康弘氏を招き経済講演会を開催した。取引先関係者や市民など約600人が参加、1時間半に亘って田勢氏の講演に聞き入った。(写真は講演する田勢康弘氏)
テーマは、「アベノミクスは日本を救うか」で、日経新聞政治部記者として25人の総理大臣を取材してきた経験から、安倍首相の経済政策や外交、防衛政策について自身の見解を示した。
アベノミクスの3本の矢について、「私はそもそも1本目の矢と言われている金融緩和が間違いだと思っている」と語り、日銀が金融機関など市中から大量の国債を買い集め、金融機関は借り手がいないからそのカネで再び国債を買うことを繰り返していることは異常だと指摘。「経済が良くなっていることはない。日本経済はありとあらゆる薬を飲んでいるだけ。世界中に中国発のデフレが広がり始めている中で日本はインフレにしようとしている。長期の金融緩和は止めなければいけない。米国は上手に緩和を締めはじめているが日本はそれができるのか。おそらく日本も年内には引き締めの時期がくるだろう」と語った。
また田勢氏は、「安倍首相は悪口を言われるのが大嫌いな人だ」として、テレ朝で古賀茂明コメンテーターが官邸の圧力で降板したのは事実だと述べ、「いずれ古舘伊知郎キャスターも番組を降りてミヤネ屋の宮根誠司氏がキャスターになる。私はその理由も知っている」と思わせぶりな発言も。
安保法制については、「経済で総選挙をしたのに事実上の憲法改正になる安保法制で国民の意思を問わないのはおかしい」と指摘、「戦後70年に亘って個別自衛権を発動したことがないのに集団的自衛権を発動できるようにするというのは日本という国の形が変えることを意味する。いずれ自衛隊に入る人がいなくなって徴兵制が出て来るでしょう。それはいつか来た道だ」と警鐘を鳴らした。
最後に9月の自民党総裁選に触れて、「石破さんは出ないだろうが、野田聖子さんが思い出づくりに出るかもしれない。しかし、おそらく無投票で安倍さんに決まるだろう。1期3年、2期までという総裁任期の変更される可能性が高い。なぜなら安倍首相は東京オリンピックを首相として迎えたいから」と安倍首相の心中を炙り出していた。