北洋銀が「有機にんにくファンド」「タマネギドレッシングファンド」を橋渡し、少額投資ネット調達ベンチャーと提携

金融

IMG_7817 北洋銀行は9日、インターネットを通じて全国から少額の投資を募るクラウドファンディングのベンチャー、ミュージックセキュリティーズ(本社・東京都千代田区、略称MS)と業務提携したと発表した。既にMS社は、北洋銀の紹介で彦一本舗の「有機にんにくファンド」と北海道バイオインダストリーの「タマネギドレッシングファンド」を組成、MS社のサイトを通じて総額400~600万円の資金調達を始めている。調達資金は2社が材料買付などに使い、1~5年後に売上げの10%ほどを小口投資家に分配する。(写真は、左から北洋銀石井頭取、北海道バイオインダストリー佐渡氏、彦一本舗佐藤氏、ミュージックセキュリティ小松氏)
 
 北洋銀は、資金仲介業務の多様化を進めている。議決権のない株を取得して最大50%まで出資する「北洋イノベーションファンド」や農商工連携による商品開発を後押しする6次化ファンドなど成長産業への投資を通じて道内経済底上げを狙う。MS社との業務提携も取引先に新たな資金調達手段として提案するものでMS社の少額投資モデルを通した取引先への間接支援とも言える。MS社が道内金融機関と提携するのは初めて。
 
 MS社は2001年に資本金50万円でミュージシャンのバックアップを目的にネットで個人投資家から少額の資金を調達するクラウドファンディング事業を開始。07年にDBJ(日本政策投資銀行)の紹介で酒造会社の熟成製造事業を「純米酒ファンド」として組成、このことが広く産業界に少額投資モデルを横展開する契機になった。
 
 具体的には、MS社のマイクロ投資プラットフォーム「セキュリティ」サイトで1~5万円の投資を募り、投資期間は1~5年。組成するファンドによって異なるが、売上げの一部が分配され投資先が成長すれば利回りは10%プラスアルファにもなるという。ファンドは金融商品でMS社は第二種金融取引業者の登録を受けている。5月末現在でMS社は161社のファンド272本を組成し募集総額は43億5000万円。償還したファンドは82本。サイト会員は現在7万人。
 
 商品のストーリー性などに共感した会員閲覧者が投資によってファンド先企業と顔の見える関係が構築でき、成長を見守るとともにヘビーな商品愛好者になるケースも多い。金融商品のためリスクもあるが1万円から募集のため投資家の多くはリターンよりもファンとして応援する姿勢が強いという。
 
 既に北洋イノベーションファンド出資先であるグリーテックス(旭川市)の子会社、彦一本舗の「有機にんにくファンド」と同じく出資先の道バイオインダストリー(札幌市)の「北海道タマネギドレッシングファンド」を組成、MS社を通じた資金募集が行われている。
 
 会見に同席した彦一本舗の佐藤一彦代表取締役は「4月末から募集を始め現在は79人、250万円集まっている。募集額676万円はタネと植えつけに使いたい」と述べ、道バイオインダストリーの佐渡宏樹代表取締役は「募集を始めたばかりだが募集予定の465万円は原料のタマネギ確保に使う」とした。
 
 MS社との提携について北洋銀の石井純二頭取は、「ワインや酒、スイーツ、ハム、チーズのほかコスメや家具工芸品などの企業も紹介しファンド組成を通じて取引先の販路拡大に助力したい」と語った。また、MS社の小松真実代表取締役は「北海道の一次産品は魅力がありファンドのニーズが高い。北洋銀との提携でクラウドファンディングに弾みを付けたい」としている。

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