札幌丘珠空港を「変える」 「丘珠研究会」が地方創生の目玉に骨太活用策

経済総合

 札幌都心にある丘珠空港の活性化を図る目的で札幌の経済人ら13人で設立された丘珠研究会(会長・加森公人・加森観光社長)は18日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌で『札幌丘珠空港の役割と将来像~地方創生と地方空港の役割~』と題したセミナーを開催した。経済界や行政などから約600人が参加、フジドリームエアラインズ須川恒次社長や大阪観光局溝畑宏理事長などが講演、同研究会は滑走路延長やもう1本の滑走路建設など具体的な提言も行った。IMG_8430(写真は、挨拶する加森公人・丘珠研究会会長)

 冒頭に加森会長は、「研究会は2011年7月に発足しこれまで64回の議論を重ねてきた。我々の身近にあってあまり利用されていない丘珠空港を新千歳空港のセカンダリー空港として、また樽前山噴火の際には新千歳が使えなくなるリスクがあるため危機管理からも丘珠活用を考えるべき」と訴えた。さらに、「石狩湾新港にも近く産業振興、観光客誘致、札幌の新しいマチづくりの観点からも丘珠の重要性は増す」と挨拶した。
 
 セミナーでは、丘珠と小牧空港の間でチャーター便運航実績があるフジドリームエアラインズの須川社長が『丘珠空港の可能性』をテーマに講演、「これまで3年間、丘珠をチャーター便で利用してきたが、私の感覚として丘珠はいつでも飛ばせる。むしろ問題は小牧。愛知県は中部空港に定期便を移しており『小牧に定期便を飛ばすつもりはなかった』といつも県とぶつかる」と述べ、「丘珠の滑走路が現在の1500mから1700mになれば良いと思う。冬も飛べて通年運航ができれば丘珠から道内ネックワークを構築したい」と話した。
IMG_8437(写真は、須川恒次フジドリームエアラインズ社長)
 
 続いて元観光庁長官で現在、大阪観光局の溝畑理事長が『地方空港活性化による地方創生』について講演、「北海道は食や観光のポテンシャルは高いが素材の良さだけではもう観光客を呼び込めない。決意と覚悟で550万道民が『観光で儲けるぞ』と行動しないと今後10年で勝負がついてしまうだろう」と独特の溝畑節で指摘した。
 さらに、「札幌オリンピックや北海道新幹線札幌延伸など2020年から30年に北海道は大きく変わる。そのための戦略を練らなければならず丘珠空港もその中でどう活用していくかを具体化すべきだ。北海道から日本を変える高い志を持つチャンスの時期が来ている」と官民あげて取り組むように鼓舞した。
IMG_8448(写真は、溝畑宏大阪観光局理事長)
 
 (一社)次世代地域航空ネットワーク検討協議会の宍戸昌憲副会長は『リージョナルジェット機を活用した空港活性化についての提案』をテーマに講演し、米国の地域航空会社スカイウェストの航空機を持たないビジネスモデルを紹介、国産ジェットのMRJを使った新ビジネスモデル導入を同協議会が推進しており「地方に新たな人・モノの流動を作りだし、地方経済の活性化を図る」と語った。
IMG_8462(写真は、宍戸昌憲次世代地域航空ネットワーク検討協議会副会長)
 
 最後に加森会長が、陸上自衛隊丘珠駐屯地を北東側に移設して新たな滑走路を建設、既存滑走路を1700mに延長してA320クラスの就航を目指すこと、地下鉄駅からアーバンロープウェイで利便性を高めること、プライベートジェットの駐機場建設、ターミナルビル建て替え、空港名の変更など新構想を発表。札幌市や道の担当局長にこの構想書を手渡した。
IMG_8467(加森会長=右から浦田洋札幌市市民まちづくり局都市計画担当局長に提言書が手交された=写真)

 丘珠研究会が誕生して4年、民間の活力でチャーター便とは言え丘珠空港のジェット機就航にも道を開いた。同研究会の活動は民間発想による地方創生のモデルケースと言えるもので、今後は札幌市や道とともに国への要望や地域住民の理解を得る具体的作業に入る時期に来ている。

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