色褪せた「Kodakカラーフィルム」の屋上看板が、遂に撤去された。千歳市幸町4丁目の5階建てビル屋上に掲げられていた、ちょっとした街の歴史的モニュメントだったが、設置から40年近くが経過、危険ということで道からの再三の撤去要請でビルオーナーが決断した。
(写真は、設置されていた頃の「Kodakカラーフィルム」の屋上看板)

(写真は、屋上看板が撤去されたビル=上と撤去前のビル)
「このビルが竣工した頃は、高架の千歳駅から屋上の看板が見えたそうですよ。その後、ホテルが建って見えなくなりましたが、街に彩りを添えることに一役買った存在でした」と話すのは、このビルの1階で写真店「Kプラス」を運営する中村智秀さん(57)。1986年10月に竣工したこのビルは、地元の写真店が建てたものだが、今は、大阪の不動産業者が所有している。当時から続いた写真店は廃業、中村さんはその跡を継いで、13年前から「Kプラス」を営業している。
「Kodakカラーフィルム」の屋上看板は、竣工当時から掲げられていた。Kodakのフィルムを生産していたのは、米国本社のイーストマン・コダック社。写真用品の世界的メーカーで、スチール用フィルムの世界シェアも高かった。「Kodak」「FUJI」「SAKURA」は、国内フィルム市場の3大ブランドだったが、デジタルカメラの普及で2000年代に入ると急速に市場が縮小。コダック社は2009年に倒産、事業は別会社などに承継された。
そんな変遷とは無縁に風雪に耐えてきたのが、この屋上看板。しかし、設置から39年、地震や暴風があれば落下の危険があるとして、道が撤去要請を繰り返し、今回、オーナーが決断して、2025年9月初旬に3日間の工事を経て撤去された。前出の中村さんは、「寂しい気持ちもあるけれど、すっきりして良かった。地元のフリーペーパーに『屋上看板がなくなっても営業しています』と、撤去をネタにPRをしています」と笑う。ちなみに「Kプラス」には、今でも週に2件ほどカラーフィルムの現像、焼き付け依頼があるそうだ。


































