勇払郡安平町にある道の駅「あびらD51ステーション」の隣接地で、建設用クレーンが高々とそびえる。隣にある追分八幡神社の静寂と、対をなすような躍動感が醸し出されている。クラッチ用ディスクやクラッチ用プレート、シンクロナイザーリングなど自動車摩擦機能部品メーカーのダイナックス(本社・千歳市)が、新事業として始めるワイナリーの建設工事。2025年秋の醸造開始に向け、躍動が増してゆく。(写真は、「ダイナックスアーロムワイナリー」の建設工事)
ダイナックスが、畑違いのワイナリーに参画するのは、自動車産業の大変革に備えた事業多角化の一環。ワイナリー以外に、キャンプ事業にも乗り出している。ワイナリーの名称は、「ダイナックスアーロムワイナリー」。アーロムとは、ハンガリーで「夢」を示す単語。同社の海外拠点、ハンガリー工場に勤務していたエンジニアが、ブドウ畑の絶景に感動、同社が公募した「夢創造プロジェクト」にワイナリー事業を提案し、採用された。既に安平町内でブドウ畑を整備して栽培を開始しており、2024年には、その畑で採れたブドウでワインの試作もしている。
ワイナリーの建設工事は、2024年7月から始まった。敷地面積約1018坪(3360㎡)の社有地に、2階建て、延べ床面積約236坪(780㎡)のワイナリーを建設する。設計、監理は一級建築士事務所丹波組(千歳市)、施工も丹波組(同)、工期は2025年10月まで。醸造は秋から開始し、「ダイナックスアーロムワイナリー」として正式開業するのは2026年春。
ダイナックスは、安平町と地方創生に関する包括連携協定を2022年5月に締結しており、ワイナリーを通じて町にワイン文化を根付かせようと動き始めている。道の駅と追分八幡神社、新しく生まれるワイナリー、安平の新三景の協演が待ち遠しい。