晩秋の夕暮れに浮かぶ「SEIYU」が取れた屋上看板

社会・文化

 北海道の「西友」全9店舗が閉店してから1週間、「西友平岸店」(札幌市豊平区)の屋上看板には、足場が組まれ、全面がシートで覆われた。建物から「SEIYU」の名は消えたが、早くも次に向けた胎動が始まっている。(写真は、旧「西友平岸店」)

「西友平岸店」が開店したのは、1981年10月。以来、43年間にわたって営業を続けてきた。株主が二度、三度と代わり、路線が定まらなかったが、本サイトは、2016年7月、「平岸店」が「新鮮力の大型補強」と銘打ったリニューアルを行ったと報じている。
 
 毎月2回、留萌や小樽漁港から直送した魚を販売する取り組みや、「安さだけは絶対に負けられない」として、他店の特売チラシ価格よりも高ければ同額保証するサービスも継続するなど、「西友」の思いが詰まったリニューアルだった。しかし、こうした取り組みも年を経るごとに薄れ、最近は、安さでも「ザ・ビッグ」や「トライアル」に押され、道内の流通業界では、「西友」の存在感は低下していった。本州に経営資源を集中するための北海道撤退は、経営の道理にかなったものだった。

「平岸店」の閉店から1週間が経ち、閉店セレモニーの熱気は消え、「SEIYU」の名も建物から外された。正面出入り口には、代わって「AEON」の名が登場した。晩秋の夕暮れに浮かぶ屋上看板にも、間もなく「AEON」の文字が入る。冷気が近づく中、閉店から新たな開店に向けた作業が、淡々と進んでいる。

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