ラピダス半導体工場と千歳湖・水芭蕉群生地の共生

社会・文化

 冬を抜け、春の到来まであと少しの表情を見せている湖。湿地には、水芭蕉の群生地があり、間もなく満開の花を咲かせる。千歳市に残る原風景のような場所の近くで、ラピダスによる次世代半導体工場の建設が進められている。最先端工場と自然の共生は、ラピダスが目指す姿でもある。
(写真は、ラピダス建設現場の近くにある千歳湖と水芭蕉群生地)
(写真は、ラピダス半導体工場の建設現場)

 千歳市美々ワールドで建設が進む次世代半導体工場。20数基にも及ぶクレーンが並ぶ光景は、新たな時代を引き寄せる躍動感に満ちている。この工場は、再生可能エネルギーによるゼロカーボン化、完全自動操業、さらに究極のリサイクルを行う新しい概念を取り入れた工場になる。ラピダスはその名を「IIM(イーム=イノベーティブ・インテグレーション・フォー・マニファクチャリングの略)」と名付けることにしている。

 屋上を緑化したIMMは、周囲の自然に溶け込むような姿になる予定で、自然との共生はラピダスが投げかける未来工場のテーゼでもある。この建設現場の裏手にあるのが、千歳湖。小高い山に囲まれた穏やかな水面を持つ湖は、伏流水が湧き出てつくられたもので美々川の源流になっている。

 湖の近くにある湿地帯には、いたるところに水芭蕉が顔をのぞかせている。季節がもう少し進めば、湖の周辺は新緑に包まれ、水芭蕉の白い花も一斉に咲き誇る鮮やかな光景が広がる。千歳市の原風景のようなこの場所には、新千歳空港に着陸する旅客機のジェット音が聞こえてくる。喧騒と静寂の不規則なリズムはこの地に独特の空気感を生んでいる。湖岸からは、クレーンのアームが何本か見えるが、建設の槌音は聞こえてこない。

 ラピダスの試作ラインは2025年初めに完成し、量産ラインは2027年初めに完成する。最先端の工場が、千歳湖や水芭蕉群生地のすぐ近くに生まれる。共生モデルをこの地から発信してほしい。

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