街中を歩いていると、この道は面白いなと気づくことがある。「さつきた8・1」の建物と建物の間にある路地のような道もその一つ。昭和の街中によく見かけた路地が、令和の今、洗練されて戻ってきたような感覚だ。(写真は、「さつきた8・1」にある路地のような通路)

 札幌駅北口の市街地再開発事業で誕生した「さつきた8・1」。高さ174mの「ONEステーション札幌」と名付けられた600戸を超える高層マンションやホテル棟、オフィス棟、駐車場棟からなる。当初の計画では、マンション棟がツインタワーだったが、建設コストや隣接する小学校の日影問題があって、環境への影響が少ない現在の姿になった。

 これらの建物が建てられる前は、駅北口という好立地にもかかわらず、時代に取り残された雑然とした界隈だった。それが時代を先取りするような界隈に一気に変わった。新しい建物は洗練さを追求するあまり、時にドライで冷たさを包含してしまうが、「さつきた8・1」は、建物と建物の間にある路地が、不思議な温かさを醸し出している。

 札幌の街中でこうした路地があるのは、道庁前庭北側の北4西5にある、日本生命北門舘ビルとソラリア西鉄ホテル札幌の間と、北3西3の札幌北3条ビルと建て替え中のヒューリックビルの間くらいだろうか。建物の間にある路地は、都市空間の「遊び」のようなもので、ほっとするゆとりの空間と言えそう。「さつきた8・1」の2階と3階には、「北八劇場」も生まれる。演劇と路地のマリアージュも楽しめそうだ。


24人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。