小樽市稲穂2丁目の国道5号沿いに架かっていた「浅草横断歩道橋」が、2023年10月12日深夜に撤去された。市民生活と近い存在だった横断歩道橋は、交通環境や人流の変化によって当初の役割を終えつつある。「浅草横断歩道橋」もその一つで、風雪に耐えた44年間の幕をひっそりと閉じた。(写真は、撤去工事が始まっていた頃の「浅草横断歩道橋」)

 国道5号を札幌方面から小樽方面に向かうと、小樽中心部に近づくに連れて交通量が増え、両側のビルによって日中でも日差しが遮られ、やや薄暗く感じられる。「浅草横断歩道橋」は、そんな中心部の浅草通交差点西側に架かっていた。1956年に竣工した小樽市産業会館と1979年に竣工した高雄ビルの前に架けられ、奇しくも高雄ビルと同じ年に供用が始まっている。

 1979年当時の小樽市の人口は約18万5000人。2023年9月末は10万7054人で、「浅草横断歩道橋」が供用されている間に、市の人口は43%も減少した。一方で、観光客は1980年代以降、右肩上がりで増加。交流人口の増加で小樽の街の在り方が大きく変化していく中で、「浅草横断歩道橋」は、役割を果たし続けた。

 44年間の歳月によって錆や穴が至るところに見られ、正に満身創痍の歩道橋になっていた。撤去は、この歩道橋を管理する小樽開発建設部と地域の人たち、関係行政機関の協議で決まった。撤去後の11月上旬から中旬までに、横断歩道が設けられる。「浅草横断歩道橋」は、よく見ると国道5号を斜めに跨ぐように建っていた。新設される横断歩道は、まっすぐに国道5号を横断するように設置される。


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