札幌振興公社(本社・札幌市中央区)は、藻岩山中腹と山麓を結ぶ「札幌もいわ山ロープウェイ」のロープ交換を行うため、3月27日から1ヵ月間の運休に入った。曳(えい)索と呼ばれるゴンドラを引っ張る役目のロープを交換するもので、2011年以来、10年ぶりの交換となる。(写真は、えい索交換時に2台のゴンドラが山麓駅に停止している珍しい光景=札幌振興公社提供)

「札幌もいわ山ロープウェイ」は、3線交走式普通索道と呼ばれ、線路の役割をする支索が2本とえい索1本の計3本の索条(ロープ)を使ってゴンドラが走行する。ゴンドラは2台あって、えい索がゴンドラを引っ張ることで山麓駅と中腹駅の間を交互に走行している。えい索は、中腹駅に設置されている出力220kwの電動機で動かしている。

 駅間を結ぶ支索ロープの長さを示す亘長(こうちょう)は約1・2㎞、最大高低差は375m、最高運転速度は時速18㎞となっており、通常の運転間隔は15分。ゴンドラ(スイスCWA社製)は、最大乗車定員は66人。

 えい索は、合成繊維の芯に6本の鋼線(東京製綱製)を撚(よ)り合わせた直径28mmのロープ。2011年に「札幌もいわ山ロープウェイ」をリニューアルした時に交換しており、今回は、メーカー推奨交換期間の10年に合わせた交換となる。えい索の総延長は、約2・5㎞。全体の工事期間は3月27日から4月26日(水)までだが、ロープの交換作業は3月30日(木)から4月8日(土)までの10日間。

 交換作業を行うのは、「札幌もいわ山ロープウェイ」を設計、製作、施工した日本ケーブル(本社・東京都千代田区)。作業員約10人が、現場で鋼線を撚り合わせて、旧えい索と交換していく。交換費は、鋼線費と作業費を含めて約5000万円。

 北海道には7ヵ所にロープウェイがあり、「札幌もいわ山ロープウェイ」は、「函館山ロープウェイ」に次ぐ利用客がある。2015年に日本新三大夜景に札幌が選ばれてから利用客が増え、2019年度には約90万人と過去最高になった。その後、コロナ禍で減少したが、2021年度は約37万人、2022年度は2019年度比で8割まで回復しそう。

 札幌振興公社藻岩山事業部では、2023年度の利用客は、2019年度比で9割まで回復すると見込んでいる。ちなみに、えい索を更新することにより、乗り心地はそれほど変わらないものの、安全性と静粛性がより高まるという。


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