半導体工場勤務から蕎麦職人になった荒川知さん、蕎麦「さとやま」2号店を1月23日にオープン

社会・文化

 半導体工場勤務から蕎麦職人になり、札幌に移住して蕎麦店「さとやま」(札幌市東区苗穂町10丁目3-15)を開業した荒川知(さとる)さん(58)。その荒川さんが、開業10年目にして2号店の「とわりのもり」(白石区菊水元町3条2丁目1-6)をあす1月23日(月)にオープンさせる。閉店した蕎麦店跡に居抜き出店、地域の蕎麦ファンの需要に応えるとともに、蕎麦のおいしさを広く伝えたいと意気込んでいる。(写真は、「さとやま」2号店「とわりのもり」の看板メニュー「肉つけそば」)
(写真は、十割の田舎蕎麦を持つ荒川知さん)

 荒川さんは、福島県会津若松市出身。学校卒業後に神奈川県綾瀬市の製鉄会社系半導体工場に勤務していたが、その会社が半導体から撤退を決めたのを機に退職。興味があった蕎麦を究めたいと、札幌市南区にある「正直庵」で修業を重ね、2002年に故郷、会津若松市で蕎麦店「あらさと」を開いた。

 小さい頃から北海道が大好きで、修業先に北海道を選んだように、いつかは北海道で蕎麦店を開きたいという思いを抱き続けていた。震災を機に札幌に移住、再び「正直庵」での修業を経て、2013年11月4日に蕎麦「さとやま」を開店した。

「さとやま」は、玄蕎麦の脱皮から石臼を使った自家製粉、手打ちをすべて店内で行っている。秩父別産や美瑛産の蕎麦を使用した細切りの並粉(なみこ)、太切りの田舎ともに、蕎麦粉8割の二八蕎麦を使用しており、調味オイル系スパイスカレー南蛮「さとやま活火山」が名物となっている。

 コロナで客足は一時遠のいたが、徐々に戻りつつあるタイミングで2号「とわりのもり」を出店することにした。蕎麦屋の経営は、原材料の値上がりもあって必ずしも安泰ではない。そんな中で、荒川さんは「さとやま」にセントラルキッチン的な要素を取り入れ、2号店「とわりのもり」を衛星店舗としてローコスト展開、経営基盤を強めようとしている。

「さとやま」で自家製粉から手打ち、蕎麦切りをしたものを「とわりのもり」に運び、茹でて盛り付けする段階のみを行うようにする。メイン商品として提供するのは、「肉つけそば」。この蕎麦が、東京虎ノ門近くで誕生した経緯を踏まえ、「寅の門」(税込み1000円)の名前をつけた。冷たい蕎麦と温かい蕎麦を用意、冷たい蕎麦では、もり(同800円)もある。

「肉つけそばを出しているお店は、札幌でも数店舗ありますが、十割の田舎蕎麦を使っているところはないと思います。コシのある十割の田舎蕎麦をつけ麺でぜひ味わってほしいですね」と荒川さん。「とわりのもり」は、1月23日にオープンするが、当面は火曜日、水曜日、木曜日の3日間、11時から14時の限定営業としてメニューも2種類のみとする。駐車場は4台分ある。

 半導体工場では、ウエハー基盤に回路を焼き付ける転写工程を担当していたという荒川さん。今やすっかりベテラン蕎麦職人の顔つきになっている。蕎麦について冗談を交えながら熱く語る一方で、真剣な目つきは終始変わらなかった。

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