道内で営業する銭湯としては一番古いとされる小樽市信香11-4の「小町湯温泉」が、24日を最後に営業を終了した。明治15年以前の開業とされ、140年以上の歴史があった。この日、晩秋の日差しに包まれながら静かに幕を閉じた。(写真は、10月24日に営業を終えた「小町湯温泉」)
北海道公衆浴場業生活衛生同業組合の店舗情報によると、「小町湯温泉」のルーツは、明治15年以前の開湯で、現経営者の親族が明治33年に引き継ぎ、「小町湯温泉」を創業したとある。命名されてからでも121年になり、開湯は少なくとも140年以上前で、小樽だけでなく道内で一番古い現役銭湯。お湯は天然温泉で、泉質はナトリウム硫酸塩炭酸水素塩泉。神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩に効能があるとされ、柔らかい泉質が身体の芯まで温めるのが特徴。
店頭に掲げられた「閉店のお知らせ」には、『今まで老朽施設を直し直し、どうにか営業してまいりましたが、暖房施設の破損、水漏れなど多々の故障が重なり、残念ながら営業継続が困難となりました』と書かれている。
現在の建物は昭和7年頃に建てられたという。独特の看板や風になびく暖簾、壁に掲げられた古びたラジューム自然温泉の文字が郷愁を誘ってやまない。そこには昭和を切り取ったような景色が広がり、立っているだけで同時代の思い出が湧き出てくる。小樽の古き良き物語の歩みが、またひとつ消えた。