札幌市厚別区の野幌森林公園にある「百年記念塔」の存続を求めている「道百年記念塔存続プロジェクト」(代表・野地秀一ホクノー社長)が、解体白紙を求める意見広告を新聞に掲載するためにクラウドファンディングで資金募集を進めている。(写真は、「北海道百年記念塔」)
「百年記念塔」は、1970年に北海道百年記念事業の一環として建設された塔で、高さは100年にちなんで100m。建設資金は、道民の寄付によって半分に当たる2億6331万円がまかなわれた。設計は、全国から集まった299案から選ばれた井口健氏によるもので、建てられた当時、井口氏は「塔はまだ完成していないオブジェ」と話し、アイデアの一部は道の予算不足で実現していないことを打ち明けていた。
建設から50年経った塔は、北海道の「建築文化遺産」の一つで、地域との結びつきも強く、地元の学校の校歌や校章にも塔が引用され身近な存在になっている。しかし道は、老朽化が進み危険性が高く、修繕には多額の費用がかかるとして2019年に解体を決定した。危険性の原因とされる「錆」について、建築家らでつくる「百年記念塔の未来を考える会」は、《塔の外皮を包む特殊な鋼材(コルテン鋼)の錆で熟成の証。塔体は健全》と結論づけている。
道は、こうした意見を聞き入れることなく、塔の解体準備を進め、解体設計の公募が既に始まっている。このため、「道百年記念塔存続プロジェクト」は、塔の存続を目指して、道に解体の白紙撤回を求めるため新聞広告を活用、議論のやり直しを求めることにした。
そのため、新聞広告に必要な資金を広くクラウドファンディングで募集している。募集期間は6月1日から同月30日まで、目標金額は300万円。リターンは、お礼の手紙と意見広告への名前の掲載(匿名も可)。10日午前中の段階で116万円が集まっている。プロジェクト代表の野地さんは、「道民の半分以上の寄付によって建てられた記念塔が、道民の意見を十分に聞くことなく解体されることに違和感を持っている。今回の運動が議論の契機になればと考えている」と話す。詳細は、https://find-h.jp/project/100nenkinentou/detail