ドーコン本社ビル、23年目で苦渋の解体

社会・文化

 新札幌のランドマークのような建物だった総合建設コンサルタント、ドーコン(本社・札幌市厚別区)の旧本社ビル解体工事が本格的に始まった。1997年に竣工した地上10階建ての旧本社は、2019年10月29日に発生した原因不明の火災により、23年目でその役割を終える。(写真は、JR千歳線側から見たドーコン本社ビル)

 未明のビル火災の火元は4階で、内部の吹き抜け構造が火の回りを早め建物の損傷を激しくした。火災後には火が回らなかった3階から下層の階と5階から上層の階のリノベーションで、再開させることも検討されたが、最終的に解体やむなしの判断に至った。

 本社ビルは、鉄筋コンクリート造の地下2階、地上10階建て、延べ床面積2万3000㎡。商業施設が目立っている新札幌地区では唯一といっても良いランドマーク的な単独オフィスビルだった。JR千歳線側のビル壁面の最上部には、アクセントのように「Docon」のロゴマークが描かれている。年輪を感じさせない鮮やかな色合いが今も残っている。

 解体工事は、大成・伊藤・岩田地崎特定建設工事共同企業体が行っており、本間解体工業(本社・札幌市西区)も参加している。解体は7月13日から始まり21年6月末まで続く。オフィスビルは、そこで働く人たちが創り上げていく生命力を宿す。その生命力が働く人たちをまた勇気づける。この関係性は歳月を経て形作られるもの。無形の財産を失うことになったドーコン、苦渋の決断の果てにどんな再生を描くか。

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