札幌市厚別区の商業施設新さっぽろサンピアザに隣接した総合建設コンサルタント、ドーコンの火災は29日未明の発生から15時間半後の同日午後5時前に鎮火した。鉄筋コンクリート地下2階、地上10階建て、延べ床面積2万3000㎡のうち、火元とみられる4階を中心に約5000㎡を焼いた。札幌厚別署や札幌市消防局は30日に実況見分を行い、出火原因などの状況を調べる。火災によるけが人などはなかった。(写真は、ドーコン本社ビルの10階部分)

 1997年に完成したドーコン本社ビルは、新札幌地区のオフィスビルの中ではひと際目立つ存在だった。コンサルタント業の建物らしくし質素だが重厚な印象を放つ外観だった。鎮火した時間帯でも周囲には焦げ付いた臭いが充満し、何台もの消防車が赤色灯を輝かせている光景は物々しさを漂わせていた。

 火元とみられる4階は設計部門で普段は火の気がないフロアというがそこから燃え広がった火は、吹き抜け構造の建物内を10階までには上り延焼したと見られている。ある関係者は、「吹き抜け構造の建物には、火災になった場合に他の階に延焼しないような防火区画として竪穴区画が必要で、延焼を防止することが義務付けられている。しかし10階の窓から火の手が上がっており竪穴区画がどうなっていたのだろうか」と話す。

 本社ビルには社員など約1000人が常時働いているという。火元の4階と燃え方が激しかった10階は早期復旧は難しいが、3階から下の階は水に濡れたことを除けば早期の復旧が可能と見られている。しかし、燃えた5000㎡分のうち執務に必要なスペースは早急に確保しなければならない。「設計コンサルタントは秋口が追い込みの時期で年度末に向けて設計業務の成果品を出さなければならない。1日たりとも休むことはできないはずだ」(関係者)。

 このため、代替オフィスが早急に必要で新札幌のオフィスビルにはドーコンの代替オフィス需要が出ている。近くのビルオーナーは、「問い合わせは来ているが、せいぜい100坪(約330㎡)程度しか空き部屋がない」と話す。新札幌にはオフィスビルが少ないため、商業施設やホテルも代替オフィスの候補になりそう。
 ともあれ、ドーコンは再開発や大型施設のほか道路や河川の設計コンサルも数多く手がけており、火災による影響が懸念されている。
(写真は、火災になったドーコン本社ビル。火元とみられる4階の燃え方が激しかったことがうかがえる)


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