杉山央弁護士2度目の懲戒処分、再起を自ら潰す鬼才

社会・文化

 北海道のIPO(新規株式公開)関係者の落胆は大きかっただろう。面談相手を威圧したことで札幌弁護士会から2度目の懲戒処分を受けた杉山央弁護士(40)。1度目の懲戒処分から3年、ようやく再起の局面に入っていた段階での不祥事。仮に3度目となれば杉山氏の名は永遠に消えてしまうだろう。(写真は、杉山央弁護士の威圧言動があった北海道財務局が入る札幌第一合同庁舎=右の建物)

 札弁連から1度目の懲戒処分を受けたのは2018年5月。理由は、その前年11月に酒に酔った状態で走行中のタクシー内で運転手に「なめんなよ、てめえ。」などと怒鳴り、運転席シートの後ろや防犯ボードを足で蹴る暴行を繰り返し、下車後には自分の携帯電話をタクシーに投げつけたため。タクシー内の防犯カメラに映った一部始終が放送されたことで全国に知れ渡ることになった。このときは業務停止1ヵ月だった。

 2度目の懲戒処分は、仮想通貨のトラブルで購入者の代理人を務め、販売会社に対する調査、監督を求めて北海道財務局の担当者と面談した際の言動。面談した4人の担当者に向けて、タクシー暴行事件を引き合いに「その筋の輩とも繋がりができた」など発言、威圧的な態度を取ったことが理由。2度目となったため札弁連では業務停止3ヵ月と1度目よりも重い処分を下した。

 札弁連による処分は20年5月25日だが、2度目の不祥事は、18年の懲戒処分が解けたてから約4ヵ月後に引き起こしている。まさに余韻冷めやらぬ中での再度の暴言で、自省・自戒とは程遠いと言わざるを得ない。

 杉山氏は弁護士と公認会計士の資格を持ち、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役とクラウドファンディングの会社「アクト・ナウ」を設立した実績もある。ベンチャー企業経営やIPOにも造詣が深く、北海道の起業環境底上げに杉山氏の手腕を期待する声は大きかった。

 1度目の懲戒処分で、杉山氏は企業の社外取締役などを辞任したが、その後も杉山氏を顧問として雇う企業もあり、再起を願う経営者もいた。しかし、2度目となるとそうはいかない。2度あることは3度あるという。3度目になれば鬼才、杉山氏の再起の道は閉ざされるだろう。

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