新型コロナウイルスの感染拡大による経済打撃が深刻化している中、北海道で民間による応援が相次いでスタートしている。北海道物産展の中止に伴う過剰在庫販売の仲介やクラウドファンディングで北海道の飲食店を応援するプロジェクト、テイクアウトやデリバリーを行っている飲食店の情報サイトの開設などで、いずれも打開策を探ろうとする自助努力。開拓時代の助け合い精神が必要なのかもしれない。(写真は、物産展中止で過剰在庫を販売支援する「緊急在庫処分SOS!」を開設した札幌商工会議所が入る北海道経済センタービル)
本州で行われる「北海道物産展」は春先からシーズンになり例年多くの来店客を集めるが、今年は相次いで中止され物産展参加企業は用意していた食品が売れず、過剰在庫を抱えるケースが多い。過剰在庫が売れなければ経営を圧迫するのは避けられないため動いたのが、札幌商工会議所。過剰在庫の情報を掲載して企業と買い手である個人や法人を仲介するサイト「緊急在庫処分SOS!」を3月10日から立ち上げた。実際の売買は企業と買い手が行うが、札商がこうした過剰在庫のポータルサイト的な仲介サイトを開設したのは初めて。過剰在庫を掲載した企業からは、「こんなに問い合わせが来るとは思わなかった。数百件の注文があって過剰在庫は一掃できた」という声が出ている。
現在、情報を掲載している企業は15社だが、札商では会員以外でも全道の食関連企業の過剰在庫が掲載できるようにしている。道内だけでなく道外からもサイト閲覧者が増え、開設初日の10日には通常の札商HP閲覧の100倍ものアクセスが集中、サーバーダウンしたほど。札商ではこの取り組みを当面継続していくとしている。「緊急在庫処分SOS!」は、https://sos.sapporo-cci.or.jp/sos-1.html
クラウドファンディングの運営企業であるアクトナウ(札幌市中央区)は、「北海道飲食店業界応援プロジェクト」を3月9日からスタート、31日まで受け付けている。提案者は映像制作や企画宣伝プランニングのトリプルワン(札幌市中央区)。北海道の飲食店の来店客が激減しており、未曾有の危機を飲食店ファンたちで助け合おうとクラウドファンディングを立ち上げた。プロジェクトに参加する飲食店の募集は予想を上回る数になったため12日で終了、約400店舗が応援対象。
応援したい店舗の食事券がリターンとしてもらえるコースは2000円、5000円、1万円の3つでいずれも10%のプレミア付き。また、店舗を指定しない募金の形を取るのは1000円、5万円、10万円、50万円でリターンはない。いずれもEZOポイントでも受け付けている。食事券は4月20日から応援したい店舗での受け取りが可能で、募金は集まった金額を参加店舗で均等割にして4月中旬に各店舗に振り込む。
アクトナウの穴田ゆか代表取締役は、「業界全体を支援するクラウドファンディングは全国的にも珍しい取り組み。温かい支援者の方々が多いのはうれしいですね」と話している。なお、13日から釧路管内の飲食店を対象にした同様のクラウドファンディングもスタートしている。北海道の飲食業界応援プロジェクトは、https://actnow.jp/project/hokkaido_food/detail
札幌市を中心に北海道全域の飲食店のテイクアウトとデリバリー情報をまとめた「がんばれ飲食店!応援企画 テイクアウト&デリバリー緊急対応店」サイトも生まれている。掲載無料で現在約250店舗が掲載されている。このサイトは情報提供のみで注目の際には各店との直接連絡が必要。「がんばれ飲食店!応援企画 テイクアウト&デリバリー緊急対応店」は、https://110.fukuts.com/
新型コロナウイルスの終息が見えない中、こうした民間発想の応援プロジェクトはますます広がりそう。