料理研究家の星澤幸子氏が代表を務める幸コーポレーション(札幌市中央区)と保育士養成施設「こども學舎」(同)、保育業務支援システムのコドモン(東京都港区)は21日、保育園に通う子どもを取り巻く環境向上を目的に包括連携協定を締結した。具体的には北海道内の保育園にコドモンの保育業務支援システムの導入を推進、保育士の働く環境を改善して子どもたちと向き合う時間を確保して保育環境を向上させるほか、給食レシピの配信や給食提供なども行っていく。(写真は、包括連携協定締結式。左からコドモン・小池義則代表取締役、幸コーポレーション・星澤幸子代表取締役、進学支援の会・河村泰孝代表理事)

 保育園で働く保育士は事務作業や雑務の負担が大きく、本来業務である子どもと向き合う時間や心の余裕が少なくなってきているのが実状。2016年に発表された北海道保育士実態調査によると、保育園の職場で改善してほしい課題として6割の保育士が「事務雑務の軽減」と答えるなど複雑化、煩雑化する保育園業務の省力化、省人化は避けて通れない課題になっている。

 コドモンは、こうした課題を抱える保育園業務をICT化することによって保育士の業務を軽減、保育士が子どもたちと向き合える時間を確保できるようなシステムを開発、全国の保育園に向けて導入を進めている。

 今回、北海道内の保育園などを対象に保育支援システムの導入を進めるため「こども學舎」を運営する特定非営利活動法人「進学支援の会」、幸コーポレーションと包括連携協定を締結することにした。

 道内には約2000の保育施設があり、コドモンを導入しているのは約10%(札幌市内に限れば約20%)。今回の協定締結で導入推進に拍車をかけ数年後には50%まで引き上げ、各保育園をネットワーク化することで課題解決事例の共有化も図っていくほか、幸コーポレーションの給食レシピ配信、給食提供な食育事業も担う。 

 幸コーポレーションの星澤代表取締役は、「保育園では現場の保育士が疲弊しているのが実状。書類の整理など自宅に持ち帰って対応している。それらを軽減して保育士に心の余裕、時間の余裕を持ってもらって子どもに向き合ってもらいたい」と話している。

 また、進学支援の会の河村泰孝代表理事は、「保育士養成の立場から保育士不足問題に向かっていかなければいけない立場。三者協定で保育ICTの授業を行い未来の保育を担う人材に保育ICTを認知してもらい、導入メリットや活用スキルを磨いてもらう。子どもたちが健やかに育っていく環境を整えることが私たちの責務」と述べた。
 コドモンの小池義則代表取締役は、「当社は全国で展開しているが、保育は地域に根付いたもの。各地域の事業者と連携を進めているが、今回北海道の保育に関わる2者との提携で北海道の子育てに寄与できればと思う」と話した。

 コドモンの支援システムには、子どもたちの登園、降園の管理機能や延長保育管理機能などのほか保護者と保育士のコミュニケーション負荷を下げることを目的にしたアプリも提供、日々の連絡業務なども簡単に行えるようになっている。保育園の支援システムでは業界トップシェアを持つ。導入費用は5000円から。



5人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。