統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で東京地検特捜部は14日、中国企業の500ドットコムから350万円相当の利益供与を受けたとする収賄容疑で衆議の秋元司容疑者を再逮捕するともに、秋元容疑者が500社から現金300万円を受け取り虻田郡留寿都村への家族旅行76万円の供与を受けたとして収賄罪で起訴した。また、旅費の一部を負担したとして贈賄罪で加森観光(本社・札幌市中央区)の加森公人会長(76)を在宅起訴した。(写真は、加森公人会長=2018年1月、道庁赤レンガ庁舎のプロジェクションマッピング披露式で)

 在宅起訴された加森会長は、事実上一代で現在のリゾート会社、加森観光をつくり上げた北海道観光の功労者。学習院大学を卒業後、父親が創業した登別温泉ケーブルに入社したが、利用者拡大のためにクマ牧場を軌道の乗せケーブル事業を活性化させたことで知られる。 

 また、留寿都村で関西系のダイワグループが遊園地を開設したが頓挫、加森氏はそれを安値で買い、再生させてルスツリゾートの源流をつくった。以降は破綻した企業から建物や施設を買い取って事業を展開するセコハン企業として知られ、本社は年代を感じさせる旧自治労会館を数十年前に取得したもので現在もそのまま使用している。市内に10棟以上所有しているオフィスビルはいずれも年代を感じさせる古いビルばかり。

 バブル期には長銀の融資でルスツリゾートを拡大。バブル崩壊後には長銀が破綻、加森観光も経営危機になったが米国で取得していたスキーリゾートを高値で売却するなどして生き残った。

 時に奇策も実行した。行き詰まった勇払郡占冠村の「トマムリゾート」の4割の施設を占冠村に買い取らせ、加森観光が運営する奇策で、固定資産税の減免など収益が上がる方法を考え出した。その後、トマムリゾートは星野リゾートが運営、現在は中国系企業が大半の施設を所有している。
 さらに、マウントレースイスキー場など夕張のリゾート施設も市が施設を所有し、加森観光が運営する方法を取ったこともあった。その後、加森観光は運営を撤退、当時の鈴木直道市長(現北海道知事)は施設を含めて中国系企業に売却した。

 加森氏は、道内経済界でも孤高の経営者で仲間と行動するタイプではなかった。加森観光の隆盛の裏には市内の著名な弁護士との二人三脚があった。奇策の裏にはその弁護士の知恵もあった。

 ただ、加森氏は政治には距離を置き、政治に頼らない実業優先の姿勢を貫いていた。観光業界では加森氏の立場は大きいものの業界全体を引き上げていくリーダーではなかった。IR誘致を巡って政治との距離を縮めたとすれば加森氏の経営観とは真逆のこと。加森氏らしからぬ行動の裏には何かが隠されているはずだ。


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