建築家・隈研吾氏はなぜ北竜町に惹かれるのか

社会・文化

 新国立競技場の設計を手掛けた建築家で東京大学教授の隈研吾氏が22日、雨竜郡北竜町で『新国立競技場から北竜町へ』と題して講演会を行った。隈氏は、同町で今年12月末竣工を目指して建設が進められている保育園「やわら保育園」(仮称)を設計するなど同町との縁が深い。隈氏は200万本のひまわりが観光スポットになっている「ひまわりの里」の魅力をさらにアップさせるための提言などを行った。(写真は、北竜町公民館で開催された講演会で話す隈研吾氏)
(写真は、隈氏の設計した建設中の「やわら保育園」)

 北竜町と隈氏の縁は1997年にさかのぼる。その年に町で開かれたシンポジウムに隈氏はパネラーとして参加、「北竜町はランドスケープ(景観)が素晴らしい。これを生かしたまちづくりをするべき」と話した。それから20年ほどブランクがあったが、隈氏が新国立競技場の設計をすると知った佐野豊町長は急遽上京。町長は隈氏がパネラーとしてシンポジウムに参加した97年当時、役場職員として隈氏と接触した経緯があった。同競技場の設計が決まった直後のため面会人が多数押し寄せた中、町長は一番乗りして隈氏と最初に面談を果たす。

 隈氏も北竜町のシンポジウムで「ランドスケープ」と表現したことを覚えており、町長が切り出した保育園の設計にその場でOKの返事をしたという。それがきっかけとなり、2017年から同町の観光大使に就任。また、現在町が進めている「ひまわりの里基本計画」策定委員も務めている。

 そんな流れの中で開かれた今回の講演会は、同じく観光大使を務め、同基本計画の策定委員長を務めるデザインプロデューサー、鈴木輝隆立正大学特任教授との対談形式で行われた。

 隈氏は保育園について、「建物は上部から見るとひまわりの花が咲いているイメージで、外壁は北竜町産カラマツを大和張りにして可愛らしさを出している。中央は吹き抜けになっておりカラマツの構造体がそのまま見える。また、吹き抜けホールの上部には今年取れた北竜町産ひまわりを乾燥させて染料にして、布に染め照明カバーを用い優しい空間になる」などと話した。

 続いて、ひまわりの里について「北竜町のランドスケープの力に建築で対抗しても無理。地形の美しさは圧倒的。それをどう建築で引き立てるかだ」と新たに隈氏が設計する展望台のモチーフについて語っていた。

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