今や新築住宅の二軒に一軒はオール電化住宅だが、「オール電化住宅と原子力発電所の増設には大きな関係がある」というのは、室蘭工業大学の鎌田紀彦教授。鎌田教授は、オール電化住宅の普及と原発の増設はイコールの関係だと指摘する。北海道電力が泊に原発を作り始めたころとオール電化住宅に取り組み始めた時期は一致している。その後、オール電化住宅の普及に伴って原発の増設が平行して進んできた。原発とオール電化住宅は、まるで双子のように密接な関係にある。
北電が最初にオール電化のモデルハウスをオープンしたのは1984年。その当時には泊原発建設が既に俎上に上っていた。89年6月に泊1号機が稼動を始め、2号機の稼動は91年4月。
北電が提唱したオール電化住宅の道内普及は原発の稼動とともに急速に普及していく。95年度には1万戸を超え2007年度には10万戸を突破、09年度には15万戸を達成している。軌を一にするように09年12月には泊3号機が稼動を始めた。
オール電化住宅とは、キッチンや給湯、暖房、融雪など生活に必要なエネルギーをすべて電気に統一した住宅。オール電化住宅を増やせば当然電気使用量は多くなる。とりわけ北海道は電気使用のピークが冬場にもあるため、オール電化住宅を含めた電気不足が泊3号機増設へと結びついていった側面は否定できない。
鎌田教授は、「オール電化住宅と原発がイコールの関係だったことを最近初めて認識した」と語っている。
オール電化住宅は、今や全国で371万戸にもなっている。東京電力管内では約80万戸、九州電力管内では約60万戸で、東京電力管内では08年以降の3年間で原発2機分に当たる約200万㌔㍗の電気使用が増えたとされる。
道内では15万戸以上のオール電化住宅があるが、泊は3号機のみが稼働中。泊原発の耐震データ入力ミスなどが発覚、一連の経産省主導の「やらせ」問題も重奏して定期修理中の1、2号機再稼動時期は今年の冬には間に合いそうにない。オール電化住宅の「節電の冬」はどうなるのか。