経営コンサルタント会社のクラーク総研・前田正秀社長は、これからの経営者や働く人々には「3D」がキーワードになると強調している。経営ビジョンや現場対応力は、マニュアルにプラスしていかに状況や時間軸に合わせた奥行きを持たせることができるかに掛かっているという訳だ。市場が縮小し生産年齢人口も減少している中で、3D発想で成長から進化という道具を取り込まなければならないとしている。(写真は、前田正秀社長)

 

前田氏は、「日本は1997年が経営者にとってターニングポイントになった」という。それは、生産年齢人口がこの年をピークに減り始めているためだ。昨年は国民一人当たりのGDPが台湾に抜かれ、今年は国全体のGDPも中国に抜かれて第3位になった。

 

「戦後の1945年から97年までを往路とすれば、今は復路を走っている。市場が拡大しパイも拡大、生産年齢人口も増えた往路から市場縮小、生産年齢人口減少という復路に入ったという考えは2D的発想。行った道を帰ってきているのではなく、違ったルートの復路で前進していると捉える3D発想が差別化、生き残り・勝ち残りのポイント」と強調する。

 

例えば、小売業のお客への対応を例に上げ、細分化・多様化しているお客のニーズに沿うためにはマニュアルだけでは満足度を与えられないとし、「お客様に合わせて対応していくこと、つまり対応力こそが進化」と指摘、「現状認識に第6感を入れていくことが3D発想に繋がる」と語った。

 

3D能力とは何か、前田社長は「コミュニケーション能力こそが3Dの真骨頂だ」として、「コミュニケーションを制するものは、世界を制する」と述べた。

 

では、3D能力を高めるためにはどうすればいいのか。「状況に応じた対応力、時間軸を認識した行動指針を立てるためには、奥行きを読むこと、間(ま)を読むこと、行間を読むことが大切だ。それが物事の本当の意味を読むことに繋がる」。

 

前田社長は、3D能力を高めるひとつの方法として古典文学を読むことを提案する。「源氏物語など日本の古典は情景を伝えているが、行間を読むとその情景がさらに鮮明に脳裏に浮かんでくる。3D能力つまりコミュニケーション能力を高めるにはとても良い教材になるのでは」と結んだ。

(5月23日に行われたSATOグループのオープンセミナーでの講演を抜粋)

この記事は参考になりましたか?