札幌市の定山渓温泉の手前に位置する温泉地として知られる札幌市南区小金湯に「小金湯さくらの森」が29日に開園した。市の農業センター跡地を利用したもので、札幌商工会議所創立110周年記念事業の一環。この日は、雨模様となり会場を屋内に変更してオープニングセレモニーが行われた。(円山公園に匹敵する桜の名所になることを期待する秋元克広市長=写真)
「小金湯さくらの森」は、エゾヤマザクラやソメイヨシノなど計11種類・約800本の桜を植栽して札幌市が開設した都市緑地。総面積12・2ha(入園可能区域は約6ha)の園内には、桜のトンネルや桜と紅葉の森のほか、ビジターセンター(管理事務所)、ピクニック広場、展望台もあり、初夏の新緑や秋の紅葉など季節を問わず眺望を楽しむことができる。
1995年に移転した農業センター跡地を活用しようと札商が「桜の名所づくり」を提唱、地域・同商工会議所・札幌市が一体となって2011年に造成が始まった。それと同時に桜の苗木代の募金活動が始まり、同年11月から2013年の6月で、のべ726件、2281万円の寄付金が集まった。
セレモニー当日はあいにくの雨となったため、会場は、現地から近い札幌市アイヌ文化交流センターに変更されたが、寄付した地元住民や市議会議員、札商議員、札幌市関係者など約300人が集まった。
オープニングを飾ったのは、地元の小・中学生ら9人による藤野太鼓『屋台ばやし』の演奏。力強い太鼓の音が館内に響き渡った。挨拶に立った札商の高向巖・会頭が「10年ほど前に札幌に桜の名所を造りたいと提唱したところ、札幌市から土地を提供していただけることになった。募金を集めたところ市民から大反響があり、目標の1000万円の2倍以上の募金が集まった。秋元市長がよく言って下さるのは『市と札商は車の両輪』。その両輪の如く立派な公園ができた」と話した。
(さくらの森開園を喜ぶ札商・高向巖会頭=写真)
来賓として秋元克広・札幌市長も登壇、「2008年に南区長をしており、さくらの森のスタートから関わっていた。オープンの式典に市長という立場で出席できたことは感慨深い。まだまだ若い木が多いが年月を経て、さくらの森が円山公園に勝るとも劣らない多くの市民、観光客の皆さんが楽しんでいただける桜の名所となり、札幌市民の財産になることを願っている」と語った。
セレモニーではこのほか、モニュメント「さくらの鐘」や、寄付者の名前を桜の花びらを模したアクリル版に記したメモリアルサインの紹介も行われ、簾舞(みすまい)中学校吹奏楽部による演奏で閉会した。
この日はまだつぼみの状態で開花までもう少しかかりそうだったが、5月15日の桜祭りを皮切りに、ライトアップや冬期のイベント開催なども企画、さくらの森と小金湯温泉など周辺一帯を観光のゾーンにしていく考え。
(秋元市長から札商高向会頭に感謝状が贈られた=写真)