新札幌から銭湯文化が消える――札幌市厚別区の新札幌で営業していた公衆浴場「いずみ湯」が20日(日)午後10時で閉湯した。1971年12月に開湯してから44年間、地域の人たちに親しまれてきた馴染みの銭湯がひっそりと幕を閉じた。IMG_0555(写真は、閉湯したいずみ湯。後ろはホテルエミシア札幌)

 いずみ湯は、JR「新札幌駅」と地下鉄東西線の「新さっぽろ駅」から近い下野幌市営住宅I団地内にある。団地と言っても、11棟が建ち並ぶこの団地に住民はいない。他の場所に移転集約されるため取り壊されるためだ。
 人の住まなくなった団地は、しんとしてまるで時が止まったよう。かつては子どもたちの声が響き賑わっていた団地のそばで、いずみ湯も日常的な風景に溶け込んでいたはず。人が消えた団地の非日常の世界に引き込まれるようにいずみ湯も姿を消した。
 番台の女性は、「今日が最後ということでお客さんはいつもより多いですね」と話していた。
 
 ところで、下野幌I団地の広さは約3・2ha。札幌市は、もうひとつの市営住宅である下野幌G団地約1・7haとともに一体的な開発をコンセプトに民間資本による再開発を進めることにしている。
 12月4日には再開発事業への参加希望者を対象にした事前説明会も開催された。G団地は既に解体工事が進み、いずみ湯のあるI団地は来年には取り壊しが始まり、2020年までには新札幌の文字通り新しい顔が誕生していることだろう。


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