江別の歴史的建造物、旧ヒダ煉瓦工場(江別市東野幌町)がその外観を活かしたまま食と観光の発信拠点、『EBRI』(エブリ)に生まれ変わった。24日、グランドオープンを祝うセレモニーが行われ、三好昇市長は「江別の観光振興に新しい風を吹き込む施設。マチづくりの拠点として市民とともに育てていきたい」と抱負を語った。(写真上は、関係者によるテープカット。左から2人目が三好昇市長、同3人目が間宮明雄ストアプロジェクト代表取締役。写真下はEBRIの外観)
『EBRI』は、昭和26年に建設されたヒダ煉瓦工場をベースにしている。同52年末に工場の操業は停止され、平成10年に廃業となったが建物はそのまま残された。江別のシンボル的な建造物で江別の発展に寄与してきたことから市は同12年に工場を買い取ったが、活用策は定まらなかった。
公募では、福祉施設の提案もあったが、市民が多く集える拠点にしたかった三好市長は提案を受け入れず活用策は振り出しに。その後もなかなか活用策は定まらなかった。数年後、再度公募を募ったところ商業施設設計のストアプロジェクト(本社・札幌市中央区)の提案が採用され、地元江別産小麦を使ったパンや菓子製造の『ベイクド・アルル』を核に個性的な商業施設が集積した施設に生まれ変わった。市が所有してから16年が経過していた。
煉瓦づくりの外観は、当時のままだが、耐震補強のために内部には新たに鉄骨を組み立てている。土地建物は市の所有で、ストアプロジェクトがデベロッパーとして改修投資、20年間賃借することになっている。
昨年12月には江別のアンテナショップが入りプレオープンしていたが、24日のグランドオープンでベイクド・アルルがパン・菓子工場とレストランを開業したほかオホーツク・ラインなどが出店、スイートポテトやコーヒー専門店、旬の野菜や肉、魚を揃えた市場、アパレルのセレクトショップなど8店舗が集積した。
テープカットに臨んだストアプロジェクトの間宮明雄社長は、「歴史的建造物なので設計にはとても苦労したが見事に蘇らせることができた。市民がリピーターになって愛される『EBRI』になって欲しい」と挨拶した。
また、三好市長は、「江別には観光発信の場がなかったが、『EBRI』を地方創生のひとつである観光振興の拠点にしたい」と話し、「どこの自治体も歴史的建造物の保存方法に苦慮している。今回の方法は他の自治体のモデルになるだろう」と語っていた。
※EBRIとは、江別(Eebetsu)と煉瓦(Brick)をもじった造語。
(内部は、鉄骨の骨組みが幾何学的に組み合わされてレトロな感覚を一層引き立てる=写真)