ソチ冬季五輪ノルディックスキー・ジャンプラージヒルで銀メダル、団体では銅メダルを獲得した葛西紀明選手(41)と女子ジャンプ7位入賞の伊藤有希(19)選手が21日、所属先の土屋ホーム本社で報告会を行った。会場になった8階会議室は報道陣や社員ら約150人が詰めかけ熱気で溢れた。メダル2つを胸に輝かせた葛西選手は、「これまで支えてくれた会社の方々に感謝しています。やっと約束していたメダルを持ち帰ることができました」と晴れやかな表情で報告した。(写真左は社員から贈られた花束を持つ葛西選手=右と伊藤選手。写真右は社員一人とひとりにメダルを触ってもらい喜びを分かち合う葛西選手)
葛西選手は、20日にソチから帰国、成田空港と地元の新千歳空港で熱烈な歓迎を受け、その後は札幌の焼肉店に直行。焼肉を堪能した後自宅に戻り、21日は時差ボケ解消のため遅い時間に起床。昼食はスキー部総監督の川本謙土屋ホーム副会長と寿司を食べた後にこの報告会に臨んだ。
報告会では、川本総監督と葛西選手、それにひと足早く帰国していた伊藤選手の3人が出席。葛西選手は、社員の温かい眼差しに囲まれて終始リラックスした様子。「金メダルの目標をもってオリンピックに臨んだので、残念な気持ちもあるが2つもメダルを取れたのでソチには大満足している。4年後の平昌(ピョンチャン)五輪で土屋ホームスキー部は金メダル目指して頑張っていきたい。伊藤有希にもぜひメダルを取ってもらい、またこうして報告ができればと思っている。ますます強い土屋ホームスキー部になっていければと思う」と感謝の気持ちと次の目標に向かう心意気を語っていた。
また、初の種目となった女子ジャンプ7位入賞した伊藤選手は、「悔しい結果に終わったので4年後にはメダルを掛けて日本に帰ってこられるように努力したい」と時折り涙ぐみながらも言葉に力を込めて決意を披露していた。
葛西選手は、ソチ滞在中にリラックスしたり精神を集中させるために音楽を聴いていたそうで、「もっぱら僕の応援歌としてあるグループが作ってくれた『ワンダージャンプ、神風、喝采飛ぶ』を毎日のように聴いていた。この歌を伊藤有希にも聞かせたら彼女も毎日聞いていたそうだ」と明かした。ちなみに、葛西選手は石原裕次郎の歌も現地で繰り返し聞いたそうで、中でもお気に入りは『恋の町札幌』だったという。
川本総監督は、葛西選手と伊藤選手の功績に報いるため、今月末の取締役会で「二人が満足してもらえるだけの報奨金を出す」ことを決めるほか、葛西選手については現在の次長職からワンランク上の部長職への昇格も決めることを明らかにした。「4年後の平昌五輪で葛西選手が金メダルを取れば取締役就任ということもある」とも述べた。
報告会では、社員からの花束贈呈やくす玉割りなども行われた。報告会が終わった後は、社員ら約100人が両選手を囲んで身動きできないほどに。それでも葛西選手は社員一人ひとりに丁寧にお礼を述べたうえでメダルを手渡し、感触を確かめてもらっていた。飾らない人柄が社員たちにも愛されていることを感じさせるシーンだった。