コンサドーレ札幌を運営している北海道フットボールクラブ(HFC)の野々村芳和社長は18日、SATOグループオープンセミナーで講演、約100人の参加者を前に「札幌ドームと厚別公園競技場の使用料をもっと安くして」と訴えた。野々村氏は他のJリーグに比べて高い会場使用料がネックになって強化費に回らないHFCの台所事情を訴えた。(写真は講演する野々村芳和HFC社長)
野々村氏は、コンサドレーレ札幌の年間予算は11億円だとし、選手やコーチの報酬などの強化費には3億円をかけていると語り、「同じ11億円の規模にはJ1のヴォンフォーレ甲府があるが、甲府は強化費に6億円を使っている。これだけ出せるのは試合会場の使用料が安いためだ。甲府のグランド使用料は1回17万円だと聞いている」としたうえで、「札幌ドームは1回に800万円もかかるし、厚別も300万円。ドームの施設は立派で日本一だということは理解しているが、定価の800万円で借りられほどの財政力はHFCにはない」と訴えた。
野々村氏は、札幌ドームを定価の800万円で借りられるのは年間予算60億円の埼玉の浦和レッズくらいだとした。多くのJリーグチームでは有料入場者数収入の5%と固定の使用料を加算した費用を払っているとして、浦和の場合は、埼玉スタジアムの固定使用料が120万円で、そのほかに「3000円単価としてその5%は150円。5万人入場で750万円。それに120万円の使用料で札幌ドームとほぼ同じ870万円になる。J2チームの多くは会場使用料が20万円から50万円だから、如何に札幌ドームと厚別の使用料が高いかがわかる」と強調した。
また、集客のために無料の入場券を配布しても多くのJリーグでは有料入場者にカウントしないため5%に算入されないが、札幌ドームや厚別ではこうした5%ルールを採用していないため無料入場者だろうと有料入場者であろうと固定の使用料がかかると指摘した。
「この使用料を何とか協力して安くして欲しいと思っている。それがどうしても無理というのなら、地域でスポーツクラブを育てようと言う意識がないと思うしかない」とキッパリ。さて、ドームや厚別の指定管理者になっている札幌市の第3セクター札幌ドームや出資団体の札幌市公園緑化協会は野々村氏の蹴ったボールにどんな対応をするのか。札幌市、ひいては上田文雄市長の考えにかかっている。